FX-Aodio-ばかりではない!大ヒット「AIYIMA TUBE-T7」中国製真空管プリ(ライン)アンプの研究

 すっかり定着した中国製の小型格安オーディオ機器だが、デジタルアンプ(D級アンプ)やDACに続いて、真空管プリアンプ(ラインアンプ)の人気が高まっているようだ。

大ヒットの真空管プリアンプ AIYIMA TUBE-T7

最初の火付け役はNFJのFX-Auio-製品

 中国製真空管プリアンプ(以降「中国製ラインアンプ」に呼称統一)の人気を最初に高めたのは、日本企業である大阪のNFJ(株式会社ノースフラットジャパン)が扱う、中国メーカーのFX-Aodio-製品だ。

 NFJは、中国製小型デジタルアンプ(D級アンプ)ブームの火付け役でもあり、同社の2番目の売れ筋の柱として育てたのが、中国製ラインアンプということであろう。

Toppingは、S.M.S.LやFX-Audio-同様、普及価格帯から中級レベルのオーディオ機器を海外など広く製造販売するオーディオメーカーである。

これらは、先にふれた小型デスクトップD級アンプ、通称「中華デジアン」で世界的に安価で良質なオーディオ機器メーカーとして知られるようになった。

それらが製造販売する低価格帯のオーディオ機器は、他の中国製品でも多く見かけるように、内容が似通っている。回路や基板を共通の専門企業から購入するのか、お互いにコピーしあうのか、はたまたOEMが盛んなのか詳細は不明(おそらく、それらの合わせ技?)回路図まで共通ということも有ったりする。

https://globalaudio.info/topping-pa5/

 NFJのビジネスモデルは

 NFJは、日本の企業であるため日本国内のユーザーをよく知っている。中国製の安価でコスパの高い小型オーディオ機器が登場してきた頃に、中国メーカー故の「品質管理や検品のあまさ」「安かろう悪かろうの体質」といった日本のユーザーが不安を抱く点に留意した。

 そこで、中国の現地に日本人駐在員を置き、FX-Audio-などのメーカーと契約して、NFJ仕様の製品供給を受けるシステムを確立した。

 不良品や、配送における破損の心配が激減し、安全性を含めた信頼性が向上。さらには、日本のユーザーが好む高音質パーツ(日本や欧米製)を組み込ませて、性能自体も向上させた製品を販売し、これを自社ブログを通じて情報発信したため、人気商品(発売ロットがすぐに完売続出)が次々に誕生することとなった。

真空管ラインアンプとデジタルアンプの相性の良さ

 デスクトップタイプの、小型デジタル(D級)アンプの人気が高まると、次の人気商品として、それに組み合わせる真空管ラインアンプを発売。真空管ラインアンプとD級アンプはとても相性が良いため、これもヒット商品となった。

 この相性の良さは、当サイトでも以前より度々取り上げている。

デジタルアンプの考察と実験(2012.4)
デジタルアンプとの関わり 真空管オーディオのホームページなのに、なぜデジタルアンプの話なのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、真空管アンプを研究する筆者が、折々でデジタルアンプに遭遇した話を少しだけ書いておきます。 まず、

NFJのTUBE-0シリーズ

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 このシリーズの特徴は2点。真空管に6J1を採用したことと、真空管の後にオペアンプのバッファー段を設け、オペアンプをソケット化したことである。

 6J1は、中国の7ピン小型(よくある9ピンMT管よりさらに小さい)5極管で、中国、ロシア、欧米、日本産の真空管で互換球が多い。もともと電話設備に使用されていたようで、これまでオーディオや楽器に使用されることもあまりなかったため、互換球も世界中で在庫が比較的潤沢な真空管だ。

 これを3極管結合という、人気の3極管と同等の働きをする回路に使用するため、低コストで高性能が見込まれる。筆者も、現在、別メーカーだがこの系統のアンプで実験中である。

 もう一つのオペアンプバッファ―だが、これのソケット化も、少し前から流行していて実にマニアの心をくすぐる方法だ。元の製品には安価なオペアンプ(個人でも安いものは部品屋で数百円で入手できる)を付けて、アンプを低価格化する。製品を入手したマニアは、ケースを開けて自分好みのオペアンプに交換するという事が可能だ。さながら真空管の球転がし同様、音質の変化が楽しめ、5-6,000円台の高級オペアンプも簡単に入手できるため、遊び心に富んでいる。

 NFJの持ち味である、その他の部品をオーディオ的に評価の高いものに交換して製造し、品質管理や配送管理もされているため、「遊べて音質の良いアンプ」としてヒットした。

どんな製品なのか AIYIMA TUBE-T7

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 一見して、ブルートゥース5.0が搭載されているのと、トーンコントロールが付いてる程度で、外観はFX-Aodio-のTUBE-0シリーズやその類似機(中国製品は、ある製品がヒットすると多くの類似製品が様々なメーカーから発売される)とあまり変わらない。

 本来弱点なのだが、電源はスイッチングのACアダプター、DC12V1.5Aが付属している。一般的な仕様の電源規格であるため、マニアがその気になれば容易にリニア電源などの高性能アダプターを導入できるため、ここもグレードアップがしやすいポイントとなっている。

 内部の写真(こちらが見やすい)を見ても、NFJなどと違い、高価なオーディオ用部品を使用している節はないし、同社やショップの説明にもそうした記述は見当たらない。ただし、FX-Aodio-やTopping同様に、最近では中級のオーディオ機器も海外で積極的に販売しているメーカーだけあって、中国の中小のメーカーと違い、汎用部品でもそれなりに安心できそうな部品で構成されているような印象(あくまでも印象)を受ける。

人気真空管ラインアンプ AIYIMA TUBE-T7の仕様

・使用真空管: 6N3(双三極管2本)互換球(6N3P、2c51、5670、396A)
・Bluetoothチップ: QCC3003 Bluetooth 5.0
・音声入力端子: RCAオーディオ入力、ワイヤレスBluetooth入力
・音声出力端子: RCA出力
・電源DC入力: 12V1.5A電源アダプター
・オペアンプチップ: N5532P(3個)※後期ロットは2個
・トーンコントロール付属
・切り替えスイッチ: RCAおよびBluetoothスイッチ
・サイズ:98 * 33 * 123mm(突出部分を除く)

FX-Aodio-の0シリーズなどと、どこが違うのか

 違いはズバリ、真空管種の違いと考えられる。標準で付いている中国管やロシア(ソ連)管は大したことはないが、米国製ビンテージ管などは隠れた銘球のようである。

 最近人気の英国オーディオブランドのIFI-Audioのヘッドフォンアンプに、互換球の「GE5670 JAN」が搭載され、その関係で、Phille Webで詳しく解説された記事がある。

  本来は、オーディオ球ではないが、高品質・高性能で軍事用機器などに80年代まで使用されていたようだ(JANというのは、米国の軍事用規格)。

 FX-Aodio-の0シリーズなど、他の中国製ラインアンプの多くが、6J1を使用しているのに対して、直線性の高い双三極管を2本使用することで、微妙な音を聴き分けるマニアにも受け入れられたと想像する。

 なお、6N3系列の真空管は、オーディオアンプで多用される12AX7などと比較して、ヒーター電流がかなり大きい(6N3で倍くらい)ようだ。プレート電流や電圧によって音質の傾向が変化するのは自作者の経験則としてよく耳にするが、ヒーター電流によっての違いも影響しているのかもしれない。

AIYIMA TUBE-T7 中国製真空管ラインアンプの評判

 人気のためか品薄状態で、すでに日本のAmazonでは、ページが削除されている。そこで、米国のアマゾンの評価を見ると、評価数が46で、星は4.6と高評価を得ている。

付属のチューブを聞かずに、すぐに一致するGE5670Wチューブのペアを挿入しました。2時間のウォーミングアップの後、このT7プリアンプは、私のハイブリッド統合アンプだけよりも暖かく、滑らかで、甘く聞こえました!サウンドステージが大きく、空気感と立体感が増し、音楽に溶け込んでいました。(Aさん)

ノイズやハムがなく、ディテールも素晴らしいです。私はすぐに、そこにあるとは知らなかった音楽の音を聞き始めました。(Bさん)

あまり期待していなかったのですが、その音を聞いてみると意外ととてもいい音になりました。さらに、100ドル未満のアンプがそのような音を出すのは驚くべきことです。それらは数千ドルかかるアンプに匹敵するように聞こえます。それはリーズナブルな価格でまともなサウンドを備えた素晴らしいアンプです(Cさん)

https://www.amazon.com/product-reviews/B08G8JT18L

 国内のブログでは、このような評価も見受けられた。

 公表できないが、筆者が参加して情報交換するフェイスブックのグループでも、本製品の音質評価は高い。

Youtubeの空気録音で、実際の再生音を聴くことができます

 フェイスブックの情報交換仲間であるIbizaかおるさんが、高性能機材を使って空気録音し、公開しておられます。ご参考にして下さい。

AIYIMA TUBE-T7の音質向上策

改造にならない向上策

 改造、つまりケースのネジを取り外して内部に変更を加えた場合は、メーカーの保証やサポートが受けられなくなる場合がある。つまり自己責任。

 AIYIMA TUBE-T7の場合は、価格もリーズナブルな機器なので、最悪の場合の痛手も少ないことから改造に取り組むマニアも少なくないようだ。

 一方で、以下の方法は改造にならない範囲でより気軽に試すことが可能である。

真空管の交換(いわゆる球転がし)

 先にGEの互換球を紹介したが、AIYIMA TUBE-T7の後期ロット(2021年後半以降)は、ロシア(ソ連)の軍用管6N3Pが付属していてGE5670Wほどでなくても、これはこれで評判が良いようだ(但し付属の真空管は管の供給状況などに応じてしばしば変更されるので要注意)。

 WE(ウエスタンエレクトリック)の互換球もあるだが、なかなか入手できないのでどうなのだろう?

電源のグレードアップ

 汎用のスイッチング電源が付属している。こうしたACアダプターのオーディオ機器の場合、ACアダプターをグレードアップすると目に見えて音質向上するケースが多い。

 AIYIMA TUBE-T7の場合も、汎用スイッチングACアダプターでもより電源容量の大きいものに変更したり、リニア電源にしてグレードアップさせる手がある。また、電源のケーブルなどにアクセサリー系のノイズ対策グッズを使ってみる方法もポピュラーな手法だ。

 筆者は最近、スイッチングとリニア電源(アナログ電源とかトランス電源ともいう)の中間的な音味傾向との評判がある「GaN電源アダプター」を多用している。費用も安く推されられるので、試す価値はあるかもしれない。

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真空管ソケットシールドケース

 プリアンプでもイコライザーアンプを備えている場合は、イコライザー段の真空管にシールドケースを使用する場合がある。静電シールドとして有効だが、AIYIMA TUBE-T7のようなラインレベルのいわゆるラインアンプではそこまでしないことが多いが、これを試してみるマニアも多いようだ。

 なお、本格的に装着するには、ケースにネジ穴をあける必要があり、そこまですると「改造」になってしまうであろう。

改造となる音質向上策

オペアンプ交換

 AIYIMA TUBE-T7には、前期ロットで3個、後期ロットで2個のオペアンプが使用されており、マニアが容易に交換して音質変化が試せるように、ソケット化されている。

 ソケット化されている場合、これはメーカーも変更を認めていると思われるが、改造とみなされるかは難しいところだが、変更によって故障が発生した場合などは、まず保証は受けられないと考えた方が良いだろう。

 価格も音質傾向も様々なオペアンプが容易に入手可能であり、これを試すという方法は比較的簡単で取り組みやすい。

銅箔シールド

 一応はアルミのケースに入って、回路基板はシールドされているが、ケースの内側に銅箔テープなどを貼ってシールドを強化するという方法がある。オーディオ機器の音質向上策として、これも良く使われる手で、概ねSNの向上(聴感上?)などが報告される。

その他パーツの交換

 リーズナブルな中国製オーディオ機器は、部品もオーディオグレードではない汎用品が使われていることが多い。そのため、コンデンサや抵抗などをオーディオグレードや信頼性の高い(日本製とか)ものに交換するというのは、このアンプに限ったことではなく効果的な方法だ。

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