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真空管アンプ国民機構想

真空管アンプ国民機構想とは

かつて、国民一号とネーミングされたラジオが有ったらしい。昭和20年代とかの話なので詳しくは良く分からないが(百十番は生まれていません)とにかく有ったらしい。 同様に、ドイツで
は有名なフォルクスワーゲンのビートルという名車が、国民車として開発された。その名の通りカブトムシ型のスタイルで、中学生の頃あこがれました。

何でも、統一した車種を大量生産しコストダウンすると言う安易な発想にとどまらず、故障の少ないシンプルな構造とスタイルで性能を高め、不当に頑丈にする事で長持ちを計ったようだ。
がんばっても10年と言う乗用車の世界で20年乗れると言うのは相対的に安上がりで、いかにもドイツ人らしい発想だ。

自動車に詳しいわけではないが、ビートルはその頑丈さと気密性の高さゆえにボディをひっくり返して川に浮かべてボートとして使えたらしい。また、実用本位化と言うとそれだけではなく、
その機能的で愛らしいなデザインは百十番だけではなく多くの人々を魅了した。免許も持てない高校生の頃、ドイツで生産が終了して涙したが、その後しばらくメキシコかどこかで生産が続
けられ、そんな話も昔話となった今日この頃、ビートルⅡとかいう現行車種としてリバイバルされている。

自作管球アンプにも「国民機を」

早速この構想にご賛同いただいた、百十番が師と仰ぐアマチュア凄腕ビルダーsuzuki様が第一号機として「300Bロフチンホワイト」を開発されました。恐れ多くも百十番のアイデアを取り
入れていただいた物です。

前後しますが、まだまだ真空管アンプの良さを充分ご理解でない国民の皆様に「初級者でも組み立てられ(初心者は無理かも)」「比較的安価なパーツでもすばらしく音の良い」「飽きたり
後悔したりしない決定版としての」アンプを開発する事をこのプロジェクトの目的と致します。

第1号機:「suzuki式300Bロフチンホワイト」

出来上がったばかりなので、百十番の追試はまだまだです。自分なりの国民機としてふさわしいパーツをじっくり選択しようと「パーツ表(暫定版)」製作中です。回路もバリエーションの中
でシンプルな物を選択しようと重います。

百十番の構想中パーツ表①

第1号機を製作しました

とか何とか言っている間に、とにかく音が聞きたくて2A3ロフチンを改造しちゃいました。

実験的にAC点火です。回路が似ているため、あっという間に完成です。AC点火によるハムも思ったより大きくありません。百十番のスピーカーでは充分実用になります。「魅惑の真空管ア
ンプ」の名著で知られる故浅野先生の時代は結構このパターンあったようです。300Bシングルを5VそのままAC点火でと言う作例を見つけました。

改造のきっかけとなったヤフオクでゲットした中国製4300Bを挿してしばらく聞いていましたが、あれ?!1本ヒーター切れちゃいました。そういえば部品買いに行ったときケンオーディオの
マスターがこの現象に泣かされて300Bから撤退したとか言っていました。

と言うわけで、現在次の球物色中です。値段の関係で凝りもせず中国かロシア管探しています。でも高~い!300B。見た目同じような2A3と値段が違いすぎる。。同じくケンオーディオさんの話では、どうも製造時の歩留まりが悪いそうです。なるほど。

見た目は基本的には2A3と同じです。(だって、出力管差し替えて中の回路少し変えただけですもの)

音の印象

2A3の時とはかなり違います。2A3の時は、アーチストが眼前にホログラムのように浮かぶ抜群の音場感があったのですが、300Bでは出力も向上したせいか、ホログラムと言うよりは実体感にあふれます。直結したせいで重低音まで再生でき、シングルの弱点である重低音の弱さが克服できていると思います。狙い通りですが。。

もちろん、カップリングコンデンサーがないのでそのための音の色付けはないのですが、反面、球の個性とトランスの音質がモロに出るようです。ジェームスのトランスは低音に持ち味が有ります。また、百十番のシステムも重低音を重視していますので、まともにならすとピラミッドバランスが行き過ぎてブーミーにすらなったりします。(過去このシステムでこんな事はなかった)

球も、よく聞くと中国球の弱点といわれている要素を感じたりします。しかし、残念ながら300Bは高くてWEはもとよりロシア球すら手が出ません。トホホ。。 また、2A3の時もそうでした
が、とても簡単な回路ですのでちょっとした線材などのパーツや配線方法で音も違ってくるようです。

初段の12AX7は、手持ちをあれこれ差し替えましたが少しづつ音が変化するものの、これが決定打と言うものも有りませんでした。というより、システムのバランスがいまいち決まらずにいます。

いずれにしても、suzukiさんはトランスと球を良い物にして好結果を生んでいるようですし、大いに可能性を感じる回路です。多くの方の追試を期待します。球を除けば低コストで、製作も簡単です。

回路について

真空管アンプの大家から「300Bのロフチンは邪道、CR結合が王道」と言う趣旨の物言いがつきました。おっしゃっている事は大変ありがたい指摘で初心者の次元ながら理解できます。

同じく大家の方では、数名の作例があり(もっと込み入った回路ですが)一応成功とされています。つまり賛否両論のような雰囲気も有るのですが、作例が少ない事などを総合すると、文系的判断ですが、おそらく邪道だと言うほうが正論と思えます。

しかし、専門家から見たら邪道でも、ガレージメーカー系やアマチュア自作派のオーディオは邪道も有りありの世界です。要は自分で聞いて音が良いと思えばよし、と簡単に片付ける気はないのですが、奥が深く、今だ科学的にも解明されていない要素の多いオーディオの世界で、ここから先はとうてい現在の乏しい経験やスキルでは百十番には評価のしようがありません。
そのうち先達の境地を身をもって判るか、そのようなレベルには到達しないで終わるか、新たな発見をするか、まだまだ未完成のプロジェクトです。

後日、WE300B購入

ついに買っちゃいました。WEの300Bです。といっても再生産品で2004年製、木箱入りのペアチューブです。一頃はこれを入手してオーディオ引退、シングルに始まりシングルに終わるというパターンがあったそうです。ホントかなあ。で、何でもその頃には目や耳も衰えて...。百十番はまだ40台半ばなのに良いのだろうか。

とにかく、高いだけのことはありました。やっぱりこれほどかと言う位違います。suzukiさんの指摘は本当でした。直熱間シングル特有の美音に加え、バランスにも破綻がなく、低音も弾みます。重低音も出ます。高音はWEトーンとやらで、独特の輝いた艶(?)があります。そんなに高価ではないトランスのアンプですが、高級品に買い換えたような違いが出ました。(ロシア・中国管が悪いわけではないのに)

ここまで書いて、百十番の今回のインプレッションは誰かの(特定のではなく)受け売り見たくオリジナルな意見ではないことに気づきました。つまり、まとめると「皆さんの言うと~り」ということでした。

第2号機:「百十番式6BM8パラシングル」

とりあえず回路図を書いてみました。これで音が鳴るのでしょうか?

なお、ヒータートランス買うのもったいないので、50BM8に変更、おまけにコストダウンのためにパワートランスレスにして有ります。

回路図はこちら

本HPの掲示板を通じて皆様からのアドバイスをいただきました。ありがとうございました。そうです、こうしてこのアンプは国民による、国民のためのアンプとなったのです。(所有者はあくまでも百十番)

ただし、トランスレスは危険と多くの方から反対されました。

(セオリーを守って使用しているので、今のところこれに関しては全く問題出ていません)

製作開始しました。

製作記はこちら

完成!と思ったらトラブル。最近の百十番アンプは音質向上のため、シールド線を使いません。

今回のレイアウトの場合、気を付けたつもりなのですがパラシングルと言うこともあって信号入力端子からの引き回しがうまくいきません。

50Vという通常よりも高圧のヒーターからハムを誘導します。

改造すること数回、これで良しと思ったらしばらく使用しているうちにまたノイズが入ったりします。

本当にあった怖い話

これは実話です。(心臓の弱い方は飛ばし読みしてください)

問題点は、入力アッテネーターからのアースの引き回しと言うのは判っていました。今度こそ大丈夫といく度かの手術をしたものの、スイッチ入れた直後などまたもや盛大なノイズが入ります。

当初からこの現象は左チャンネルのみで、アッテネーターから近い右チャンネルにこの現象は出ません。ずいぶんましになったしもうこの現象は出ないかなと思っていても、順調に稼動していたと思ったらまたもやと言うことがまれに有りました。音質はすばらしく、過去最高傑作と思えます。この状態でHoppyさんのシステムを鳴らしに行って大成功を収めたりしています。

ある時、更なるエージングをかねてTVの音を出していました。番組はフジテレビの「本当にあった怖い話」です。娘(小学5年)といっしょでした。しばらくして百十番は用事で部屋を出ました。本来は自作アンプの安全対策のため目を話すときはスイッチを切るのですが、娘も居るしまあ大丈夫かと。

しばらくして部屋に戻るとそこには娘の姿はありません。TVも付けっ放しだし…娘が消えた!!アンプからは例のノイズが。

娘が恐る恐る戻ってきました(神隠しでなくて良かった)。何でも急に変な音が鳴り出したのでてっきり幽霊が出たと思ったそうです。原因はアースの引き回しです。自作ファンの皆様、こうした問題は幽霊と間違えられるのでくれぐれも気をつけましょう!(くだらないオチですいません)

その後

最後の手段(最初からそうしろと言われそうですが)と、左右のアースを分離して引き回しました。あっさり問題は解決しました。ところが………。

アースを分離するときに、有り合わせの線材を使用しました。そうしたら、そうです、音が変わっちゃいました。ただしこのとき同時にB電源のコンデンサの耐圧不足を疑ってこれを交換したのでどちらが原因かわかりません。調整しているうちにせっかくのすばらしい音が変わってしまうと言うのは自作をやっていると時々あることです。とほほ。

低音が引っ込んでしまいました。シングルなのにプッシュプルに負けない重低音が気に入っていたのに。

仕方がないので、NFBを調整して強めに掛けてみたら、しまった重低音が出るようになったのですが、全体の音もしまっています。これではまるでWEトーンです。(楽器のリアリティは感じるし、ある意味これも捨てがたい音)

百十番はもう少し、ふっくらした暖かい真空管トーンが好きです。当初の音が絵に書いたような好みの音で過去最高傑作と思っていたのに、複雑な心境です。エージング不足かもしれないと、現在鳴らしこみに励んでいます。また線材取り替えるかなあ。

結局線材取り替えました。もともと使っていたものがジャストの長さ残っていてラッキー。低音も復活して元の音質に近づきました。不思議、不思議。

今回の教訓を元にした百十番のオーディオに関する仮説。信号線のアースの線材は侮れない。そういえば学校で電子はマイナスからプラスに流れると教わりました。回路の考え方として電流はプラスからマイナスですので、電子は逆です。回路図を見て自作しているので錯覚起こしますが、電子が来る道のクオリティはとても大事なのではないでしょうか?電源や機器間接族信号線にに高価なオーディオ用ケーブルが売られていますが、大体どこの製品もマイナス側の材質に手は抜いていないようです。あたりまえのような今回の教訓でした。

その後のその後

エージングも進んだある日、フィリッパジョルダーノの「アベマリア」を50BM8パラシングルで聴いてみたのですが、過去最高の出来でした。この曲は、真空管アンプに百十番が興味を持つきっかけになったもので、リファレンスとしている曲(耳タコですが)ですがすごかったです(自画自賛ですいません)。

その後かけた中山美穂は、本人とバックバンドが目の前にいるような迫力でした。こういうことも初めてでした。設計段階とかでアドバイス下さった皆様ありがとうございます。