過去の作品集:6BQ5pp/自作真空管アンプby百十番

記事中リンクにはアフィリエイト広告が含まれます。運営費一部補填と、紹介製品の実勢価格・詳細確認が目的で、アフィリエイト目的のサイトではなく、編集方針はそれらの影響を受けません。

ダイナコの回路をアレンジ

これは、キット以外で最初に製作したパワーアンプです。(2002年1月完成作)
回路は、ダイナコの回路をアレンジした海外の方のものを基にしました。

インターネットで検索して見つけました。

ヤフオクでジャンク入手して部品取り

しかし、部品代けちってヤフオクで全く動作しない古い自作品のジャンクを買って部品を使いまわしたため、電源回路など回路図通り行かず、出たとこ勝負でかなりアレンジしました。

(2020.5追記)よく、回路図通りにコピーできれば上級者といわれます。このアンプを製作していた頃は、初心者でしたし、ましてや元の古いアンプを土台としたので、我ながら良く完成できたと思います。

収取した古いアンプは、物置にでも放置されていたのか、年数以上に劣化が激しい状態で、なおかつ上級者がきちんと製作したものではなく、とりあえず作ってみたというようなものでした。シャーシを新しくして、トランスを塗装しなおせば、見違えるほど綺麗になるのですが、真空管アンプなので、古さも残したいと思いました。

そこで、トランスは再塗装せず、ビンテージ管を残し、電源スイッチやパイロットランプは古びた元のモノを未交換(その後、パイロットランプは老衰して交換)。さらに、不要な穴を目立たせないためもあって、元のアルミが劣化したブロックコンを1つ撤去せずにそのままにしました。

シャーシを赤く塗装したことも有って、写真ではよく「きれいなアンプですね」といわれるのですが、実際に見るととてもきれいとはいえず、渋さと下手さがミックスした何とも言えない出来です。完成当初は、いずれ組みなおすつもりでしたが、18年後の今、何故かメインシステムに収まっています。問題あり有りのアンプなんですが、気が付いたら手元にはまともなものがあまり残っていなくて。。

ジャンクを土台にするのはお勧め

この方法は、本当にお勧めです。外観も含め、無残な状態程、持ち主もあきらめてゴミ同然に出品されます。買う側も、こうした部品取り目的以外には、ゴミでしかありません。変な話ですが、元のゴミから部品を取り出して、部品として売れば、その方が高値になることがとても多いです。

真空管アンプの場合、電源トランスと出力トランスはどうしても高くつくので、この方法で入手すれば、他にも使えそうな抵抗類やちょっとしたパーツも部品取りできて、とても有効な方法だと思います。

最近では、中国製の、性能に問題あるもののデザインは良くて新しい(使用感が少ない)ものが入手しやすいので、それを改造するという方法もあると思います。コストダウンに直結します。

音が出ない!意外な方法で解決

挙句に、まともに音が鳴らず、試行錯誤の上ウルトラリニアから多極管接続にこれも出たとこ勝負で変更したところ、今までの苦労がうそのようなすばらしい音を奏ではじめました。

(2020.5)困り果てて、この当時、多くのマニアが集まって質問と回答を寄せる木村さん(べるけさん)の掲示板に質問しました(木村さんには本当にお世話になりました。難病になったとのことで心配です)。いつものように、少なからずアドバイスをもらいました。こういう場合大抵そうなのですが、高度なアドバイスが多く、これは大変な作業になるかもと不安がこみ上げます。とにかく、もしや古い出力トランスが不調かもしれないと思い、出たとこ勝負でsgを電源回路に直結したところ、結果的に上記の接続方式の変更となり、まともな音が出た訳です。原因はいまだに不明ですが、出力トランスの不調意外に考え難いです。

シャーシが1mmのお弁当箱型で

ただし、ジャンクアンプのシャーシがアルミ1mm厚のお弁当箱で、補強しなかったため、トランスの重みでゆがんで来ています。
更に写真では分かりませんが、塗装に失敗、車のボディーのようなぴかぴかにするつもりがまだらのつや消しになっています。

さらに、底板作ったのですが、うまくシャーシに固定できません。

結局、底板は必要もないのでそのまま使用しています。

今こそ公開するその隠し味とは

(2020.6追記)ここまで読むと、ネットで拾った回路で、ヤフオクで入手したジャンクを土台にした適当な手抜きアンプ韓満載ですね。ところが、自分自身でも驚くことに、この趣味を初めてかれこれ20年。このアンプ製作してから18年経過した今、このアンプはメインシステムで活躍しています。下にメンテナンス状況を書きましたが、大きな改修もしていません。

実は、この時に「いくら有り合わせの適当な製作でも、そこに実験的要素を入れてみよう」と考えたのでした。

その隠し味は2点あります。

(1)当時評価の高かった、現代的パーツの導入

⇒その頃、高級アンプに良く採用されたという、理研のRMGのしかも通常1/2Wを使うところを大型の2Wを使用しました。音声信号に影響のある増幅段は、ほぼこの抵抗を使いました。大きくて配線し難かったのを記憶しています。RMGはリード線が金メッキ処理など、オーディオ用に贅沢に作られた炭素皮膜抵抗です。その後生産終了となりましたが、アムトランスさんが復刻されています。

(2)歴史的評価の高い、WE配線材の導入

⇒WEは、真空管オーディオの世界では伝説的な存在ですが、配線材も直接後世にノウハウは伝わりませんでしたが、相当な工夫をした高品質のモノだったようです。オーディオのみならず、元々、当時の電話線を張り巡らせるための高信頼性が求められたので、相当高度な技術だったようです。このアンプには、復刻品(レプリカ)ですが、綿巻単線を使用しました。当時、西新宿にあったP&Cさん(※2020年初頭に思いご病気だと告知されていましたが、2020.7月よりサイトが見られなくなっています)に買いに行きいろいろお話をお伺いして、オリジナルは手に追えそうもない(少量販売なく配線時の加工も大変)ので、それにしたのを記憶します。
※リンクを貼ろうと、P&Cさんのサイトを見たら、何とご店主が本年(追記時の2020年)1月にガン宣告されて、現在、在庫処分セール中とのこと。ショックです!営業はともかく、回復をお祈りいたします。

定年退職でメンテナンス

(2020.3追記)定年退職したので、本機をメンテナンスしました。もともと、入力端子に安物を使ったので、そこの接触が甘いだけでした。このアンプは、過去の自作アンプの中でも、中庸な出来で、オーソドックスな音質で安心できます。メインシステムに組み込みましたが、特に不満もなく、最近始めたエア録音(空気録音、ぜひYouTubeでご一聴を!チャンネル登録もお願いします)では大活躍しています。製作したのも早い段階だったので、その後のスキル向上とともに、配線を何度か強化しました。真空管もあれこれ差し替え。

実際に見ると下手な塗装なのですが、赤い塗装がキャッチーなので、写真では立派に見えます。最近では、SNSのアイコンをこのアンプにしたりしています。

一般的には、このアンプのような、多極間の多結接続は、数値特性(歪率)が悪いので、製品も自作も敬遠されがちです。3結かウルトラリニア接続、またはそれらの切替が大部分ですね。でも、実際に製作すると悪くない。その話をすると、ごく一部の方が賛同してくれます。どう思われますか?

歳をとると、視力に問題(老眼)が生じてきて、正直この規模のプッシュプルアンプは製作の地震がないです。この記事を読んでいる方に申し上げます。MT管のプッシュプルアンプ製作するなら、若いうちですよ!!!

今となっては、娘が小学生時代に手伝ってくれた良い思い出のアンプです。

このアンプを直熱管シングルと比較試聴(空気録音)した動画を公開しています。ぜひご視聴のうえ、ご感想をお聞かせください。

YouTubeで公開しているシングルとプッシュプル聴き比べ動画(真空管アンプ)
https://youtu.be/6y_3sEgdu4U

新館:自作真空管アンプのホームページby百十番に戻る>>