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ゲームチェンジャー?Topping PA5(D級パワーアンプ)超高性能でハイエンドに挑める高コストパフォーマンスなパワーアンプの研究

PA5が廃番になったという悲しいお知らせを追記した(2023.1月)

まずは、その価格から見ておきたい

※PA5が廃番になったため、上は後継機の「TOPPING PA5II PLUS」へのリンクに更新しました。

本記事執筆時(2022.2月)の楽天市場での実販売価格は、40,000円(税、送料込み)で、専用のACアダプターを付属しての価格だ。※その後、値上げ(円安の影響?)されているようです。

 見た目では、小型(サイズ:16.6 x 12.9 x 4.1cm、重量:680g)の中国製品によくあるデスクトップオーディオ用の低価格・小型アンプに近い。とはいえ、そうした小型アンプよりは1桁高い価格帯の、明らかに一味違う製品だ。

 デスクトップタイプの小型アンプは過去に何度か紹介している。

 一般的な中級オーディオマニアが使用するパワーアンプの価格帯が、数十万円クラスで、ハイエンドオーディオマニアは100万円オーバーというのが、今時の筆者の認識である(筆者は中級)。

 そういう価格帯の話で行くと、オーディオ機器としてはエントリークラスの価格となる。ただし、それは量販店のオーディオ売り場などで販売されている国産や欧米産の有名メーカー製機器の話。コスパの高い(品質や検品レベル、および回路の独自性には問題があるが)中国製オーディオ機器としては、先に挙げた小型デスクトップアンプよりは高級な部類に入るのだろう。

海外のサイトで絶賛されたパワーアンプ

 日本のマニアも良く参考にしている、米国の「audiosciencereview」は、独自の実測データを基にオーディオ機器を紹介・評価し、プロアマ問わず登録したユーザーが活発に意見を交換するサイトだ。

 国内外の大方のサイトやオーディオ誌など、オーディオ系メディアが、試聴評価は行うものの、性能データはメーカー公式発表値に依存するのに対して、独自に計測し実測データを公表するというのがユニークな点である。

計測データは?

 ここでの「Topping PA5」に対する評価が、同サイトでもなかなかない高レベルのものであった。

こんなに素晴らしいSINADスコアを見るのは久しぶりです。それを含めると、SINAD値は106dbに到達し、これまでにテストされた160を超えるアンプのリストの上から2番目になります。(中略)クロストークは非常に低いです。(中略)歪みが非常に低く、ノイズが支配的です。(中略)私は、ノイズと歪みに関してこのアンプの透明性に自信を持っています。(中略)PA5をお勧めすることは私の絶対的な喜びです。 ステレオアンプ市場のダイナミクスは人々を変えました!※筆者意訳の上抜粋

https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/topping-pa5-review-amplifier.28512/

 計測値の多くが、すこぶる高水準で、特にSINAD値は、同サイトがこれまで評価した160以上のアンプの中で第2位という成績だったという。

SINADとは、FM方式の無線受信機の感度測定基準として用いられている値のことである。 「信号(signal)」「雑音(noise)」「ひずみ(distortion)」の各要素の和に対する、「雑音」と「ひずみ」の和との比によって表される。 単位は一般的にデシベル(dB)が用いられる。(Weblio辞書より)

https://www.weblio.jp/content/SINAD#:~:text=SINAD%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81FM%E6%96%B9%E5%BC%8F,%EF%BC%88dB%EF%BC%89%E3%81%8C%E7%94%A8%E3%81%84%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82
最高のパフォーマンスのアンプreviewed.png

リスニング評価は?

 サイト主宰者による試聴評価は以下の通り。

PA5をInfinity Reference253スピーカーに接続しました。音の衝撃のレベル、忠実度と全体的な品質は予想以上でした。PA5はこのスピーカーを充分に駆動し、音楽が意図した方向に引き込まれるように聴こえました!雷鳴のような低音がありました。優れた高周波と私のスペースを埋める能力。この小さなアンプがこのスピーカーにこれほど美しく電力を供給しているとは想像しがたいものでした。(筆者意訳)

https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/topping-pa5-review-amplifier.28512/

 とにかく絶賛しており、音質上のマイナス要素は一切指摘されていない。

どんなメーカーのどんな製品なのか(Topping PA5)

Toppingが本拠を置く広州市について

 TOPPING(Guangzhou TOPPING Electronics & Technology co., LTD)は、北京、上海に次ぐ中国第3の都市で工業生産が盛んな広州市に本社を置く電子機器メーカー。

 広州市は、欧米やアジアの文化を源流とするオーディオが盛んな香港に近く、IT機器などの世界的な供給拠点深圳にも近いためか、中国国内では、注目すべきオーディオメーカーも点在し、オーディオショップも少なからず存在する場所だ。

やはり広州はオーディオのメッカだった(2011.5月)
目次 1.珠江デルタはオーディオの中心 2.結論 3.パーツ屋さん (以下別ページ) 4.仏山市の製造メーカー「LineMagnetic社」 5.垂涎のWE(ウエスタンエレクトリック)機器「全音古董銘器」 6.家業で続ける中古ハイエンド店「

Toppingについて

 Toppingは、S.M.S.LやFX-Audio-同様、普及価格帯から中級レベルのオーディオ機器を海外など広く製造販売するオーディオメーカーである。

 これらは、先にふれた小型デスクトップD級アンプ、通称「中華デジアン」で世界的に安価で良質なオーディオ機器メーカーとして知られるようになった。

 それらが製造販売する低価格帯のオーディオ機器は、他の中国製品でも多く見かけるように、内容が似通っている。回路や基板を共通の専門企業から購入するのか、お互いにコピーしあうのか、はたまたOEMが盛んなのか詳細は不明(おそらく、それらの合わせ技?)回路図まで共通ということも有ったりする。

 小型アンプが大ヒットして、世界中に販路が開けるようになると、ある程度独自開発の製品にも取り組むようになってきたようだ。とはいえ、どこかでヒット商品が出ると他社も類似商品を発売するため、製品が似ていることには変わりはないが、これは、以前の日本の家電メーカーも同様であった。

 Toppingの公式サイトによると、昨今は高度な測定機を導入して、研究開発に力を入れているようだ。

2016年と2019年に、研究開発と量産テストのために、現在業界でトップのオーディオテスターであるAudioPrecisionからプロのオーディオテスターAPx555とAPx555Bを購入しました。各製品は、研究開発プロセス中に優れたパラメータとパフォーマンスを達成した後、聴覚調整段階に入ります。

https://www.tpdz.net/profile

どんな製品なのか Topping PA5

 まずは、製品スペック(メーカー公表データ)から見ていこう。

PA5 パワーアンプ仕様

THD+N @ 1kHz (A-wt):<0.0005% @ 4Ω 5W <0.0004% @ 8Ω 5W
THD+N @ No-wt (20kBW):<0.0015% @ 4Ω 5W <0.0006% @ 8Ω 5W
SN比 @ A-wt:124dB
ダイナミックレンジ @ A-wt:124dB
周波数応答:20Hz~40kHz (±0.3dB)
出力レベル:65Vpp @ RL = 4Ω 68Vpp @ RL = 8Ω
ノイズ@ A-wt :<16uVrms
チャンネルクロストーク @ 1kHz:-106dB
入力感度:2.6Vrms
ゲイン:19.1dB
チャンネルバランス:0.1dB
出力インピーダンス:<0.01Ω
出力: 140W(4Ω)、85W(8Ω) ※THD+N<10%。 125W(4Ω)、65W(8Ω) THD+N<1%

PA5の電源と出力

 電源は、付属のスイッチングACアダプターで、DC38V4AとACアダプターとしては高電圧で大電流のものが付いている。これだけでも、度々例に挙げる小型デスクトップアンプからすると100Wオーバーの大容量となる。

 アンプの出力がチャンネル当たり、8Ωで85W、4Ωでは140Wとなっており、家庭での使用では、余程の低能率スピーカーや爆音派でなければ、ステレオアンプとしては充分な出力になっている。

 ただし、先に紹介した米国のオーディオ・サイエンス・レビューの意見交換では、やや小さいのではと懸念する声もなくはない。

 なお、通常、D級アンプの場合は、増幅段に専門メーカーのチップやモジュール(例、ICE-Power、Ncoreなど)やが使われることが多いが、使用されているモジュールは公表されていない。

PA5の最大の特徴は、フルバランス(平衡)アンプであること

 最大の特徴は、入力がバランス(平衡)のみということだ。バランス伝送は、業務用機器などで使われる規格で、一般オーディオ用がアンバランス(不平衡)のチャンネル当たり2ピン端子のものであるのに対して3ピン端子(主にキャノン端子)を使用した伝送となる。

 また、一般的なキャノン端子の入力ではなく、楽器用機材などでよく使われるTRSで、6.5という太いサイズ(古いタイプのヘッドフォンなどと同じ)となる。

 ボリュームが付いているため、DACなどとの直結は可能ながら、接続ケーブルはアンプへの入力がTRS規格のものを使用する必要がある。

 なお、バランス伝送というのは、「GROUND(グラウンド)」「HOT(ホット)」「Cold(コールド)」の3種類で信号を伝送するもので、外形的には、通常のピンケーブルでのアンバランスに対して、Coldが加わっている。電気的にはこのコールドは、ホットの信号を反転(±を逆にしたような)させた信号を通したものだ。さらに、グランドはチャンネルごとに独立している。

 バランス伝送のメリットは、ホットとコールドが逆の信号であるため、ケーブルが長くなっても(コンサートなどの場合は数十メートルもザラ)途中で混入するノイズ信号を、最後にホットとコールドを合成する際に、ノイズのみ打ち消し合うといったようなメリットがある。グランドの独立と併せて業務用では必要不可欠な方式。

 一般向けのオーディオ機器でも、特に最近はバランス(平衡)とアンバランス(不平衡)両方に対応したものが、特に高級機では増えている。ただし機器によっては、内部でいったんアンバランスに変換されるものもあるため、システムの構成上、この変換による音質ロスに留意する必要がある。

 システム全体をバランスにするか、音質をアンバランスと比較の上で機材を繋ぐ必要があるというのが一般論と思われる。

推奨される(無難な?)使用法・組合せ

一般的なDACの選択

 フルバランスのパワーアンプという事は、ここに至る上流をすべてフルバランスで統一するのが望ましい。

 アナログ盤再生は悩ましいが、DACと直結する場合は、むしろシンプルである。というのも、多くのDACに使用されているDACチップ自体は、そもそもバランス出力になっているためだ。バランスとアンバランスの両方の出力が備わっている機器は、中級以上では珍しくない。

 最近では、イヤフォンやヘッドフォンもバランス型が出て来ているため、ヘッドフォン出力も両方備わっているヘッドフォンアンプ内蔵型のDACも普及してきたように感じる。

 そのため、バランス出力の備わったDACであればなんでも良いのだが、パワーアンプと直結させる場合は、プリアンプ内蔵型が望ましい。これは、音量調節をどちらでした方が好みの音質になるかということだ。音量調節やプリアンプとしてバッファーアンプを1段加えた方が結果が良いかどうかは、機器の回路や使用部品の質に作用されるため、実際にやってみて比較できる製品の方が遥に望ましいと考えている。

メーカーも推奨する同一メーカーのDACとの組合せ

 Toppingがメーカーとしても推奨しているのは、こちらのDAC。

Topping E50 DACのスペック

ES9068AS搭載
ハイレゾオーディオ対応
XMOS XU216搭載
THD+N 0.00009%
最大DSD512 ネイティブ & DSD4256 DoP & PCM768kHz対応USB
MQAデコーダー USB/同軸/光学入力
RCA / TRS出力を選択可能
超低ノイズプリアンプ
リモコン操作

デザインもサイズ的にもジャストフィット

 奥行きが約1cmアンプよりも小さいだけで、他はPA5と同サイズ。デザイン的にもジャストフィットし、接続もTSRのバランス同士なのですっきりする。

 ESSの最新チップを搭載しており、性能的には申し分ないと思われる。ただし、LANによるネットワーク入力やBluetoothに対応していないため、PCと離れた場所で使用したいとか、PCなしで使用したいという場合は、ネットワークブリッジなどを別途用意する必要がある。

Youtube「Daphile高音質アプリ」紹介動画
Youtubeの解説動画、ノートPCなどをネットワークブリッジとして活用

 

 その他の音質レビュー

 Amazonでは、執筆時、5件のレビューが投稿されているが、すべて5つ星。主な内容は以下の通り。

中低域に厚みがあり、ボーカルや高音域は明瞭でありながらほんの少し柔らかい感じに聞こえます。まとまりがあり、音場や定位なども自然です。ホワイトノイズは皆無で静寂感などは大変に素晴らしいと思います。聴き疲れしない音で自分はかなり気に入った。(Aさん)

聞いた瞬間から音に躍動感を感じます。多くの音が混ざり合う曲を聞いても音がうるさくなく一つ一つの音が分離して聞こえます。ワイドレンジでダイナミック感、透明感、解像感、中低音の伸び、音場空間の広さなど、これまでのクラスDのアンプには無かった音です。(Bさん)

https://amzn.to/3GBiIGC

 中国製品の場合、宣伝のためのステマ的な投稿もあるため、再びオーディオ・サイエンス・レビューに戻ってみよう。

私が試したすべてのdクラスのアンプの中ではるかに優れており、同じレベルのチューブアンプの多くの、何倍もの、非常に優れた、多くの要素を備えているということです。(Cさん)

ノイズがなく、クリーンで、色付けなくソースを明確に表現するアンプ。期待通りの印象。それは本当に私が望んでいたものであり、期待していたものです。このアンプは、それ自身のサウンドシグネチャを持っていません。(Dさん)

https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/first-listening-impression-of-topping-pa5.29344/

 同じく、海外の掲示板のAV Forumsレビューで、詳しいレビューを見つける事ができた。

ボーカルを聴くと、とてもクリーンです。本当にきれい。おそらく真空管アンプほどカラフルではありません。真空管アンプは、正確というより、より楽しい音という認識です。

高域はくっきりときれいです。それが録音にあるときだけボーカル歯擦音が存在します。シンバルは少し洗練されて明るいように感じます。(中略)PA5はおもちゃではなくクリーンなアンプです。(中略)PA5は本物の啓示です。これは本物のハイファイであり、サイズと価格で笑うことができますが、冗談ではありません。(Eさん)

https://www.avforums.com/threads/topping-pa5-i-bought-one-for-a-laugh.2394453/

 どうやら、低ノイズの静寂性に加えて、色付けの少ないクリアな音質ということが伺える。

 (2022年3月加筆)本ブログの公開およびYoutube動画での紹介(本記事を基に紹介動画を制作し公開した)でも後に、入手された方も当然少なからずいらっしゃるようで、参考になるインプレッションがファイルフェブコミュニティの日記で公開されていたので、紹介したい。2022年03月19日のTakeoさんの日記(ファイルウェブコミュニティがサービス終了し、現在は読む事ができません)だ。バランス入力に対してアンバランス出力から接続する方法も試されている。

音場は透明度が高いです。それは宇宙空間を彷彿させる無機質な透明ではなく、きちんと空気が介在していることを感じる透明です。

https://community.phileweb.com/mypage/entry/4279/20220319/69441/

試すなら~当サイトオリジナルのアイデア(真空管アンプの付加)

 この色付けの少ないアンプに、真空管アンプの色彩を加えてみたらどうか?少し検討してみたい。

 Topping PA5はパワーアンプであるため、できればDAC内蔵プリアンプではなく、本格的なプリアンプ(アナログ盤再生をしない場合はラインアンプ)を加えて見たくなる。D級アンプとも相性の良い、真空管プリアンプを加えると、より楽しめるトーンになるのではないかと考えた。

 一方で、フルバランスアンプであるため、DACからのバランス伝送をプリアンプでもアンバランスに変換することなくフルバランスで通過させたい。しかし、そうなると真空管アンプの場合、フルバランスアンプは極端に選択肢が狭まる。

師匠(勝手にそう思い込んでます)のぺるけさんも同様な悩みを約30年

 真空管アンプを活用したシステムを、フルバランスにしたらどうなるか?誘惑はあるもののなかなか実現となると悩ましい。

 当サイト発足以来、真空管アンプ自作の師と仰ぐぺるけさんも、同様な悩みを約30年間抱きつつ行動を開始したという話を彼のサイト「情熱の真空管」の中に見つけた。

たどり着いたひとつの答えが、信号経路のバランス化でありました。この、深~く遠いテーマをどうするか、やるかやらないか、できるのかできないのか、できるとしてすごーく面倒くさいのではないか、どこかで矛盾しはしないか、などど考えつつ、あっという間に30年が経ってしまったのでした。

http://www.op316.com/tubes/balanced/start.htm

市販機器でフルバランスの真空管アンプを発見

 こちらは、アップグレードバージョン(高音質パーツ使用)で、執筆時価格は、119,328円(税別、送料16,246円)とそれなりの価格で、内容を考えると決して高くない印象だ。

 ちなみに、通常版は本体価格が60,275円。真空管は、6N11(E88CC、6922、6DJ8に交換可能)ということで規格には申し分なく、アナログ盤再生のイコライザーアンプはなく、トーンコントロールが付いている。

 日本のAmazonでは、以下のバージョンが販売されていた(執筆時)。

Youtubeの視聴者が実測データを共有

 本記事を基に、YouTubeでも動画でTopping PA5の製品紹介を行った。やはり注目度は高いようで、筆者が運営するチャンネルの動画の中では視聴回数は多い。

TOPPING PA5の紹介動画

 動画の公開後、実際に入手した視聴者からギャングエラーについて実測データの共有をいただいたので、こちらでも紹介しておきたい。実測値を見ると、ギャングエラーに関しては素晴らしい性能になっている。

1W時+0.03dB、2W時+0.32dB、3W時+0.14dB、4W時+0.06dB、5W時+0.03dB、6W時-0.02dB、7W時-0.09dB、8W時-0.04dB、9W時-0.10dB、10W時-0.14dB、15W時-0.18dB、20W時-0.26dB、25W時-0.22dB、30W時-0.23dB、35W時-0.22dB、40W時-0.20dB、45W時-0.20dB、50W時-0.22dB、55W時-0.21dB、60W時-0.20dB、65W時-0.17dB

https://youtu.be/wB0YD7kph6g

※提供いただいた苦弱kujyakuさんより: 65W x2 @8ΩTHD+ N <1%ですので、ボリューム最大で65Wになるように入力を調整し、1kHzのサイン波でテストしました。

 スピーカー端子につなげる負荷抵抗のインピーダンス(@1kHz)はケーブル込みでLCH 8.035Ω、RCH 7.982Ω 電圧測定はADVANTEST AD7451Aを2台を使用LCHの電圧を基準にRCHの電圧をdBで表記しました。

温度や電力値の報告も

 同じく、苦弱kujakuさんからは、動作時の温度(入手間もない冬場の測定値)と電力値についてもご報告いただいた。

非接触式温度計で測定すると本体31℃、電源アダプター22℃(床付近の室温18℃) クランプメーターでAC100Vの電流が約0.08A(通常音量再生時)。約8WでDACより少ない!夏場は有り難いですね。

 他にもこの動画には、百数十件を超える多くの熱いコメントが寄せられている。本製品を真剣に検討する場合は、ぜひこのコメント欄も一読することを推奨したい。

さらに視聴者より重要なことを指摘いただいた

Topping PA5はBTL

 続いて、YouTubeの視聴者MYFAMILY 4さんから重要なご指摘をいただいた。Topping PA5はバランス入力のアンプだが、スピーカー出力もBTLになっており、バランスのままスピーカーに送られるという事だ。

 一般的には、バランス(差動、平衡)の場合、トランスやオペアンプなどの電子回路で差動合成をどこかの段階で行う。そうして最終的にパワーアンプの赤端子から正相駆動力出力、黒端子は、GND(グランド)に落ちるが、BTLの場合、この差動合成がない。

PA5の動画の中でスピーカーの接続がBTL方式になっていることに触れられていません。
BTL方式、ご存じのように赤い端子から正相駆動力が出力、黒い端子から逆相駆動力が出力。
例えれば、2人で引くのこぎりのような感じで強く振動版が動くさらにコモンモードノイズ(DAC由来のホワイトノイズのようなもの)も打ち消される。
多くの方は、BTL方式をご存じないのでは、と思います。BTL方式は、音質に絶対悪な、「音楽信号のど真ん中にオペアンプ」が避けられるという実にいい面があります。ただしBTL方式に理解がないとショートを起こしやすいという欠点もあります。

YouTubeコメントより

 これと同様のことは、オーディオ仲間がソウルノートの機器を導入した時に、話がどうもかみ合わなかったことより気になっていた。こちらでは、ソウルノートの加藤氏が図解して丁寧に技術解説している。

ソウルノートのFacebookページより(画像をクリックで移動)

Topping PA5のバランス入力は、Topping E50専用のものではない

 (以下、ご指摘を基に追記)TRSは、大きいサイズ(6.5とか6.35と表示される)のヘッドフォンプラグと同等のもので、3線で構成される。先の尖ったほうから順に、T、R、Sと3つの線が呼ばれている。この3つの線をXLRの3つのピンの差し込み(メス)に変換する短い変換コードが安価で購入できる。

 サウンドハウスという楽器、業務用音楽機器の通販会社で同社オリジナルコードが1本300円(税・送料込み)で購入できる。2本必要なので300円X2=600円で手に入れることができる。

画像クリックで移動

 TRSは、TがHOT、RがCOLD、SがGND(グランド)と決まっているので、XLRに変換すると2番HOTとなる(サウンドハウスに実測データをご提供いただいた苦弱kujyakuさんより確認済)。

 また、PA5の公称入力感度は、2.6Vrmsであるが、実質出力50W(8オーム接続時)程度であることを考えると、実質入力感度は、2.0Vrms程度であり、極めてありふれた値である。ほとんどのバランス出力DACで使用できるはずである。TRS入力にひるむことなく、チャレンジしてほしいものである。

Topping PA5は、増幅チップ「Texas Instruments TPA3255」を使用?

 各種情報提供いただいている上記、YouTubeの視聴者MYFAMILY 4さんがその後の調査で、使用されている増幅チップを突き止めたという報告をしてくれた。

英語圏のyoutubeからです。使われている増幅器は、TI PA3255。

https://www.youtube.com/watch?v=awujquFGo6w

 これは4chの増幅チップで、それをバランス入力でBTLにしている模様とのこと。

マウザー公式サイトより、画像クリックで移動

AIYIMAから同一チップ採用のアンバランス入力アンプ「AIYIMA TPA3255」が約1万円で発売されていた

 また、同じくこのTPA3255を使用したアンバランス入力(RCAピンジャック)のステレオアンプが同じく中国のメーカーAIYIMAから発売されている「AIYIMA TPA3255」。こちらも評判は良い製品のようだ。本記事執筆時の実勢価格は、10,352円(税、送料込)。※ACアダプターなど電源は付属していないと思われるので、要注意。

 チップが4chなので、入力後に内部回路でバランス化してBTLにしているのではというのが、MYFAMILY 4さんの意見で、筆者も同意見だ。以前から数多く販売されている中国製デジタルアンプの火付け役となったFX-202j(別記事でそのデュアルモノ使用を報告)もその方式と聞いている。

 電源を良いものにして、デュアルモノで使用すれば、システムがアンバランス接続のユーザーでもTopping PA5に迫れる結果が期待できるかもしれない。ただし、電源も2個必要なのでトータルのコストは、あまり変わらないと思える。これは、それぞれの電源にどの程度のコストをかけるかによってかなり左右される。AIYIMA TPA3255は、電源が付属しないと思われるのに対し、Topping PA5は、複数のユーザーやマニアの意見として、付属のACアダプター(スイッチング電源)もコストをかけた良いものであるようだからだ。

 なお、製品として比較した場合、同一チップといえども電源以外にも内部に使用されている部品のグレードも違うようで、Topping PA5と比較すると特性的には価格なりのようだ。

AIYIMA A07 TPA3255 Review (Amplifier)
This is a review and detailed measurements of the AIYIMA A07 desktop amplifier based on TPA3255 class D amplifier chip. ...

 

悲報!Topping PA5が廃番に

 (2023.1月加筆)Topping日本正式代理店の(株)オレメカさんと別件で連絡を取り合っていたところ、思わぬ悲報が舞い込んだ。文面は「アンプのLA90とPA5が部品の調達が出来なくなり廃盤になりました」というもの。

 LA90は、PA5の上位価格帯のアンプで、これまた秀逸な特性を備えた機器だ。執筆時現在まだ市中在庫はあるようなので、念のため詳細リンクを貼っておく。

後継機のTOPPING PA5II PLUSが発売された

 (2023年8月加筆)ようやく純粋後継機の「TOPPING PA5II PLUS」が発売されたようだ。個人的に期待していたRCAのアンバランス入力も加わっている。

 出力をやや控えめ(100W×2、4Ω)にして、価格をやや抑えた弟機も発売されている。
 ※執筆時の販売価格は、¥33,700 税込。

TOPPING PA7シリーズも

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