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オーディオは、オカルト?科学?科学的に説明できない事を究明することが科学だ!

オーディオ、特にオーディオ情報発信を長年やっていると、「非科学的!オカルトだ!」と批判・否定されることがよくあります。

オーディオマニアというのは、「マニア」(直訳すると変質狂?)が付く位ですので、一般人から知識や感覚が大きく乖離するのは珍しいことではありません。むしろ当然だと思います。

一般人から見た奇人変人的&差別的要素を嫌い「オーディオマニア」>「オーディオファイル」などと言い換えるケースも増えていますが、当方はその立場を取りません。むしろ、その乖離こそオーディオ趣味の真髄と考えています。

一般人との乖離はともかく、入門者やベテランマニアに至っても、「オーディオ科学原理主義(当方の造語です)」的な発想をして、NET上などで意見を述べたり、他者を批判(幼稚なマウント取りも含め)するケースは後を絶ちません。

というか、めったに誰も窘めない。。

というわけで、そういう立場を非難する記事をまとめようと思いました。

当ブログが運営するYouTubeチャンネルに寄せられた典型的なオーディオ科学原理主義者のコメント

例を挙げた方が早いと思うので、引用してみます。

@midoriedward3379
私はコンピュータエンジニアでありネットワークエンジニアです。デジタルデータというものを理解しないで議論されていますね。CDの音もデジタルデータです。CDからデータをちゃんと間違いなく読み出せれば、その後はどのような経路、手段を取ってもデータは変化(劣化ではありません)しません。一例を挙げると、銀行口座の残高が勝手に増えたり減ったりすることはありませんね。CDのデータも同じです。音をデジタル化した後、不可逆(圧縮など)な加工しない限り、変化しないというより、変化したら終わりです。この点を理解されて議論を進めたらいかがでしょうか?
https://youtu.be/HAI_Httk-8U?si=Zk34fL_dVkgjMZQu

データ通信(TCP/IPなど)の基礎を学んでください。
もしノイズが入ったのなら、それは通信エラーであって、受信側でデータ(音)として復元化できません。
同じデータが送れて送受信成功です。パリティエラーはそのために存在します。
ノイズがのって音が悪くなる、というのはアナログ通信の世界観です。
https://youtu.be/Y5QHHycjd-w?si=X-0E_MYUL-R36Mpu

電波だなあ。トランスポートの出力のジッタがバッファのメモリに記録されるわけないじゃん笑
microSDよりSDカードが物理的に安定しているとかもうわけわからん笑
みんな感覚でしか話してなくて、数値データが何も出てこないのよな。NASがPCより低ノイズ(何ノイズよ?)って決めつけたりそんなんばっかりね。(後略)
https://youtu.be/BX7MWfKp0g4

例に挙げたのは「オーディオ科学原理主義(当方の造語です)」の中でも「デジタルオーディオ原理主義者(これも造語)」つまり、デジタルで音は変わらない、というありがちな声でした。

一方で、それ以外にも「アクセサリー(インシュレーター、ボード、ラックなど)で音は変わらない」「ケーブルで音は変わらない」という伝統的な原理主義者が存在します。

中には「アンプで音は変わらない」という意見の方も少なくないのですが、レベルが低すぎるので今回は無視します。

とはいえ、オカルト系オーディオというのは存在する

オカルトオーディオ
クリックしてYoutube動画を再生>>

張本人はまじめな場合も多いが、周囲や変人なはずのオーディオマニアの多くが首をかしげるジャンルもあり、上はそれをYouTube動画でまとめたものです。

時代が変わると、オカルトではなくなるものもあるでしょうし、結構面白がって試すマニアも少なくないと思います。

世界的ベストセラーにみる「科学」の教え

ここ10年くらいで最も感心、感動した本です。

その下巻に以下のような「科学」に関する記述があります。

近代科学は、私たちが全てを知っているわけではないという前提に立つ。(中略)知っていると思っている事柄も、さらに知識を獲得するうちに、誤りであると判明する場合がありうることも受け容れている。(下巻、59ページ)「サピエンス全史、ユヴァル・ノア・ハラり著、河出書房新社」

日本人は主に、学校(主に義務教育から高校までの理科)で教わった知識が「科学的」であり、それを逸脱するものは「非科学的」と考える傾向があると思います。

これは教養の浅い人のみならず、超常現象を一刀両断で否定する大学教授などは典型例でしょうか。

本来の科学的とは

同書を読み進めると、さらに重要な「科学に対する認識」を改めて知る事ができます。詳しくはぜひ同書を読んで欲しい(それ以外にも実に多くの目から鱗の内容が豊富な本です)と思いますが、趣旨を要約してみましょう。

近代科学は、人間は無知で伝統的や宗教的俗説やそれまで科学的とされてきた知識も正しくない場合があると認めます。

そこで、対象に対して観察や分析を重ねて、学説をまとめます。そして、その学説を活かして新しい力や技術の開発を目指します。

「そんなことがある訳がない=学校の理科で習得した知識から逸脱」から、改めて観察や分析を行うのが科学的であり、思考停止して一刀両断に否定するのは、科学的ではなく、ナチスや共産主義的な手法だそうです。

平たくいうと、知らないことを知ろうとするのが科学で、習っていないことを否定するのは科学的ではないという事のようです、目から鱗でした。

オーディオにおける義務教育的知識との違いが出がちな例

あらためて入門者・初心者やマニアでない人から「非科学的・オカルト」と指摘されがちながら、多くのオーディオマニアのおおよその世論では「科学的に解き明かされていない要素もあるが、一般論として事実・現実として認識していること」を洗い出してみます。

内容ごとに、初心者や原理主義者の発想と一般オーディオマニア、オーディオメーカー、オーディオ誌、オーディオ評論家、オーディオショップなどの理解を対比していきます。
※オーディオ関連の古い単行本には、一部初心者的内容が書かれていて驚くことがあったりします。

1)電源で音は変わらない

初心者の考え→
オーディオ機器の電源は、コンセントに繋がっていればAC100Vだし、その後の電源回路で回路図に従って直流の電圧や許容電流などが実装されていれば、音に影響はない。
雑音などは混入する場合もあるが、測定器で人の聴力認知以下に製品化されているため、製品(アンプなど)による差はない。ましてや電源ケーブル、コンセント類での音の変化はあり得ない。

オーディオマニア→
音として聴こえてくるのは、電源回路から直接来る電力であり、この質は音質には大きく影響する。製品の回路図はあくまで「理想電源、理想部品」での場合で、実機には誤差が多く含まれる。認知以下の微小な差もさることながら、測定限界以下のノイズ、インピーダンス、瞬発力、振動対策、ケーブル素材などなど多くのものが音質に影響を与えている。

2)ケーブル(アナログ)で音は変わらない

初心者の考え→
論外の低品質(抵抗値やキャパシタンスに有意差があるもの)でない限り、銅線に流れる電流や電圧はケーブルの導体や構造、絶縁体材料、振動などに影響を受けない。ごく僅かに影響受けても音の変化として聞き取れる程ではない。

オーディオマニア→
80年代に、オーディオ評論家の故江川三郎氏がケーブルによる音の変化を指摘するまでは、オーディオメーカーもマニアもそう考えていた。機器の接続は赤白ケーブルで充分とされていた。
その後、事象としても計測など科学的原因究明も進み、音が変化するのが当たり前とするのが(原理主義者以外の)一般論に。高価なオーディオケーブルの製造や流通も一般的になった。ただし、音質との科学的因果関係は完全には解明されていない。

3)デジタルで音は変わらない

初心者の考え→
CDプレーヤーの普及以降一般化したデジタル再生は、記録や再生に二進数記号化のデジタル技術を用いているため、デジタル部分(ファイルや伝送、再生)で音は変わらない。

オーディオマニア→
CDの出始めは、多くの人がそう考えた。しかし、現象としてCDプレーヤーやPCオーディオの場合の再生ソフトやDACによって、大きく音が違うことが一般的に知られるようになった。
当初はエラー補正などリアルタイム再生のデータ欠落が原因と考えられたが、その後はビットパーフェクト(データ欠落無し)でも、時間軸の揺らぎであるジッター、電磁ノイズ、ソフトウエア品質などの影響を受けることなど、さまざまな音質変化要因が計測含め科学的に解明された。
ただし完全な解明ではない。

4)ケーブル(デジタル)で音は変わらない

初心者の考え→
アナログケーブルによる変化は理解できても、デジタルケーブルは0と1の二進数のデータが通るだけなので、ケーブルによる音質変化はあり得ない。

オーディオマニア→
USBDACを繋ぐUSBケーブルや、CDプレーヤーなどを繋ぐ同軸デジタルケーブル・オプティカルケーブルでは、実際にはアナログケーブル以上に音が変化する事象が多い。
デジタルケーブルといえど、ケーブルの中を0や1という数字が通る訳ではなく、アナログ電流が流れ、その電圧の変化などで0か1かを判別するため、ケーブルはアナログともいえる。2)3)と同じく計測を含む科学的にも変化要因の解明が進んでいる。

5)ネットワークオーディオはLANケーブルや伝送機器による音質の変化はない

初心者の考え→
2)3)4)の理解が進んでも、ネットワークオーディオは、データを非同期で送信し、エラーチェック・再送信も実装可能で、ノイズカットの絶縁なども通信規格で備わっている。さらに、データはメモリバッファされるため、ネットワークの音質的影響はない。

オーディオマニア→
比較的最近まで、メーカーやマニアもそのように考えてきた。しかしこれも現象面が伴わず、ケーブルでも機器でも大きく音が変化する。そもそもネットワーク機器は、通信機器としての規格で製造されているため、オーディオ機器に比較すると桁違いにノイズレベルが大きい(大きくてもデジタル通信には影響少ないため)。
このノイズがオーディオデータに乗ってアナログ回路に影響を与えるというのが、一般的理解となりつつあり科学的解明も進行中。
さらに伝送プロトコルなど、プログラムや回路の方式による差もノイズや電源の揺らぎを通じて音に影響を与えるという説が有力になっている。

6)オーディオアクセサリーによる音の変化

初心者の考え→
インシュレーターなど振動系は、電気が通る訳でもなく、振動など動く要素も小さいため、音質への影響は小さく、アクセサリーメーカーの儲けのためにある製品群だ。仮想アース、マイ分電盤、マイ電柱などはもはや理解不能のオカルト。
電源系は、コンセントやタップ、電源ケーブル含め、電柱から(さらに言うと発電所)の長い距離の最後の一部分だけ手を加えてもナンセンス。

オーディオマニア→
マニアといえども、幅広いアクセサリーの世界は効果の大小や科学的根拠の有力性など、把握しきれない面も(質、量ともに)多々あり個人差が大きい。
とはいえ、インシュレーターやボードなどの基礎的振動系や、コンセント、電源タップ、電源ケーブルなどの室内電源は、オーディオの基本として消化していることが大部分。
仮想アースも一般化し、フィルター類は「功罪有って適材適所」というのももはや基本と理解しているのが普通か。
それでも種類も多いため、マニア間でもオカルトとの議論や論争は日常的に発生する。

脱初心者、脱原理主義者というのは珍しくない世界

最初はどの世界も皆初心者な訳です。また、きっかけや経験を積むことで、古い知識や認識の間違いを知ったり、新しい知識を蓄積していくという健全な人間的成長も、どの世界にもあることです。

筆者も初心者時代は「ケーブルで音は変わらない」「デジタルで音は変わらない」と頑なに信じていました。時にはSNSで上級者にかみついたことも有りました。

そうした過去を思い出すと、赤面しそうですが、ともかく誰しも通る道と心得ている昨今です。

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