ネットワークオーディオで使用される主な通信プロトコル。全部わかるかな?

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 当ブログでは、ネットワークオーディオの黎明期より様々な方式でネットワーク再生に取り組んできた。

 ある程度ピュアオーディオに取り入れられるようになって20年以上経ってきたと思うが、その後に 次々と誕生してきた方式の違いが、個別には説明されるが全体俯瞰の説明があまりされない。

 今回は、どのようなメジャーな通信プロトコル(LANを使用したもの)が選択されて、使われるのかまずはその種類を列挙してみた。

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デジタル分野の技術を、文系の人間が実用知識として概要を理解する難しさ

 ネットワークオーディオの伝送プロトコルについて、ネット上などに説明記事があっても、LAN伝送のエンジニアレベルの知見がないと理解できない場合が多い。通信のみならず、OSの知識も、オーディオ自体の知識もないと理論と実装を含めた理解として実用にならない。

 とはいえ、その種類も増えて、文系のオーディオマニアであっても何を採用するのかという選択肢は付きまとう。そこで、エンジニアレベルの知識が無くても、ある程度ザックリ違いや特徴を全体まとめとして集約してみたい。

 ネット上の情報が散逸しているため、複数のAIに情報収集と分析をさせた。AIはまだまだ間違いが多い。そこで、複数のAIで相違がないか確かめつつ、すでに知りえた知識との齟齬も再質問で会話していった。

 当方は元の本職がWEBマーケティングだ。現役時代にエンジニアから説明を聞きながら進めることが多かった(というかほとんど)。しかし、人によって(力量や専門分野)説明も大きく変わるし、知らなかったり専門外でも一端の口を利く人が少なくない。この手の県に大いに泣かされた。

 文系の人間は、技術をすべてブラックボックスとして避けていては、オーディオのみならず自分のレベルは高まらないだろう。というわけで、文系のマニアでもある程度知っておきたい知識を共有していきたいと考えている。あくまでもたたき台的な位置づけで、より詳しい人が内容に関する補足や指摘を見つけた場合は、コメントで教えていただきたい。

 本記事の内容が、より充実するか、記事に触発されて他により充実した資料が誕生しマニアの情報共有が進むことを期待している。

ネットワークオーディオの通信プロトコルを古い順に列挙

※「古い順」は厳密ではなく、ザックリした記憶とインパクトを基にしたもの。

Squeezebox (SlimProto)

 日本では機器が正規輸入されず知名度も低いのがSqueezeboxという機器。海外では結構普及していまだにファンが少なくない。その後ソフトウエア自体もオープンで無償化され母体は紆余曲折したが生き続けている。最古のネットワークオーディオとも言われる。

 伝送は、プッシュ方式、設定次第だが圧縮ファイルは送り出し側が解凍するのが一般的。

UPnP/DLNA

 ネットワークオーディオの基本とも言われ、最も普及した方式。Squeezeboxのプッシュ方式に対して、プル方式。コントローラーの指令に応じて再生側がファイルを呼び出し圧縮ファイルは圧縮したまま送る。

 今でもこれを使いこなすのが入門というか、第一歩ではないかと考えている。

UPnP/DLNAの構成、解説用事例図

OpenHome

 UPnP/DLNAの機能改良版。主な違いはプレイリストを再生側が持つこと。LINNが開発した。LINNはネットワークオーディオのパイオニアで、全世界にこれをDSシリーズで普及させたオーディオメーカー。長年UPnP/DLNAを使ってきたが、再生側(ネットワークプレーヤー)がプレイリストを持たないと不便が生じるため改良した。

AirPlay

 歴史はOpenHomeより実は古く、appleがMacなど自社機器やiTunesといった自社ソフトで使うプロトコル。オープンソースのソフトウエア(Shairport-sync)も無償配布され、安定度も高くお手軽で便利。ただしハイレゾに対応せず、AirPlay2になってロスレスからロッシーに退化したため、オーディオマニアからは常に2軍扱いされている。

MPD

 オーディオ用通信プロトコルではなく、SMB(Windows共有)やNFSといった「ファイル共有」の仕組みでデータが運ばれる。伝送そのものは、一般的なTCP/IPでUPnPと同じだが、「音楽ファイルのストリーミング」ではなく、ファイル共有なので処理がよりシンプルといわれる。

 ラズパイオーディオでは、主役的な立ち位置であった。

※ここまでが、オープンソースやオープンソフトで無償配布だったがここからは有償の機器とのセット販売やソフトウエア(再生エンジン込みなど)として有償販売され、しかも安くない。

RAAT

 Roonが作ったプロトコル。Roonのサーバー側で圧縮の解凍含め多くの処理を行い再生側の負担を減らしている。既存の伝送方式の範囲で伝送ファイルも均一化。Roon専用。海外では音質評価も高い傾向にあるが、日本では「今一つ物足りない」という評価も少なくない。

HiFiオーディオ統合ソフトRoonのロゴ

NAA (Network Audio Adapter)

 HQPlayerのネットワーク伝送プロトコル。HQPlayer専用。HQPlayerで高度に処理したデータを生のまま送る。HQPlayer全体の解説記事がほとんどで通信プロトコルとしては汎用性がないこともあって詳細はよく分からない。

Diretta

 音楽ファイルの伝送に特化したプロトコル。他のプロトコルが、受け側にとって伝送量のムラが大きい点を改善。パケットを均一に伝送し、受け側の負荷を均一化することで電源やCPUなどのノイズを軽減した。1対1の通信にも対応。最近バージョンアップで抜本的な進化中のようだ。

 送り出し側のソフトウエアDirettaHostは無償配布(主にWindowsのASIO)だが、再生側のDiretta Targetは、機器とのセット販売もしくは有償。

Direttaでの再生環境

USS

 国内オーディオメーカーの、ソウルノートが中心となって特定ハードメーカーが開発するプロトコル。Direttaを採用してきたが、外部のプロトコルは、バージョンアップなどオーディオメーカーがコントロールできない点があり、これをハードメーカーが中心で開発することにより、よりハードに最適化させる設計方針。

 Direttaの改良版を目指しているとも受け止められ、最初のデモンストレーションではDirettaより明らかに高音質だったという声が大きかった。しかし開発思想そのものに対して、Diretta側より反論が出されている。本記事執筆時点ではまだ実用化前でデモンストレーションのみ。

その他の通信プロトコルなど

 他にも「MinimServer」や「AssetUPnP」というUPnP/DLNAの亜流や、送り出しにUPnP/DLNAの仕組みを活用できる入初中の「DirettaUPnP」などの派生形がある。

 またネットワークオーディオに含めて良いのか悩ましい、ChromecastなどCastingといわれる似た動作をする技術が実用化・普及している。これは、スマートフォンで楽しんでいる音楽や動画の配信サービスを大画面のテレビやネットワークプレーヤーで楽しむ、とかパソコンの画面や音声をミラーリングしてテレビやネットワークプレーヤーで視聴するという技術。

音楽配信サービスの通信プロトコルは

 QobuzやTIDAL、amazonミュージックなどの通信プロトコルはどうなっているのだろう?

 これも誤解が多いようだが、通信プロトコル自体は一般的なインターネットのものを使っている。サービスを開始する際の認証などが各社別々の技術であるため、それぞれ仕組みが独自と思いがちだが、音楽自体(音楽ファイル)の伝送は特殊なものではないようだ。

音楽ストリーミングQobuzロゴ

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