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光LAN接続によるオーディオの音質改善策がすっかり一般化したので、導入を進める(前編・理論編)

 今や我が家でも主流のネットワークオーディオ再生(クラウドストリーミング)の音質向上策として光LAN接続がすっかり一般化したように思います。

 具体的には、ネットワークプレーヤーやネットワークブリッジ(ネットワークトランスポート・ストリーマー)に有線LANを繋いで再生する場合、LANケーブルに乗っかってくる電磁ノイズを光ファイバーで協力にアイソレートすることで対策する方法です。

なぜ光LAN接続が、音質向上につながるのか?

ネットワーク機器はノイズ対策されるはず

 有線LANでの接続の場合、ルーターやスイッチングハブなどのネットワーク機器やネットワークオーディオ機器は、当然通信が安定するレベルのノイズ対策が成されています。

 「パルストランス」とか「ガルバニック絶縁(ガルバニック・アイソレーション)」という用語がでてくるとネットワークプレーヤーに入ってくるデジタル信号は、問題になるほどのノイズはすでに除去されており、LANケーブル自体もバランス伝送なので心配ないと思ってしまいます。

 ネットワークオーディオの黎明期には、皆そう考えていました。ちょうどUSBDACが一般化したころに、USBケーブルやノイズは問題にならないと多くの人が考えたのと同じような話です。

対策されているのは通信レベル

 ECMだの技適だの、特に日本では厳しい規制がありこれらに合格して市販される機器は、充分なノイズ対策がなされているため、オーディオに取り入れた場合でも音質には影響しないはずだ。

 今でもこう考える方は、少なからずいると思います。

 しかし実際には、これらはあくまでも「他の危機の影響含めた安定した通信」の最低限のレベルであるようです。医療用となると医療機器の誤作動は命にかかわるので、こうした規制レベルはさらに厳しくなります。つまり「通信レベル」より「医療グレード」が耐ノイズなど高い性能が求められる訳です。

 これは、もっと以前のオーディオ界における「電源ケーブル」の見直し時代と話が似ていますね。70年代までは、メーカーも含めて「電源ケーブル」などで音は変わらないと思われていました。しかし、「ホスピタルグレード」といわれるコンセントや電源タップ、インレット、アウトレットなどを採用すると音が良くなることがわかってそれが常識化しました。ケーブルの導体や絶縁体、構造なども含め、その後は「オーディオグレード」といわれる更に高性能なものが高い価格で普通に販売されるように変化した件です。

 どうやらネットワークオーディオにも、同じような流れが来ていたようです。

多くの人が音の変化を経験

 最初はマニアやメーカー、評論家も「ケーブルや機器で音は変わらない」と思い込んでいました。しかし、実際にやってみるとLANケーブルを変えたり、LANケーブルにフェライトコアなどを入れただけでかなり音が(良くなるかはともかく)変わることが経験的に分かってきました。

 そうしてLANケーブルに「ホスピタルグレード」や「オーディオグレード」のパルストランス(オーディオ製品としても市販され)を挟んだり、様々な工夫が始まりました。

 ※オーディオ用として効果的なLANケーブルの例

 オーディオ機器同様、ネットワーク機器にも低ノイズの電源を使用する、という方法も取り入れる人が増えていったと思います。

極めつけとしてオーディオ界に登場した光LAN接続

 さまざまな試行錯誤の中で、WiFiを活用するという方法も出現しましたが、無線機器には受発信器から発生するノイズがありますので、LANケーブルに乗るノイズは減らすことができても、別のノイズが加わるリスクが少なくありません。

 こうしたLAN上のノイズ対策として、産業界には別の課題解決策が既に存在していました。それが、光LAN接続です。これは、元々100mまでの長距離伝送が前提となっている有線LANにたいして、時としてそれを上回るビル内の配線などが求められる場合の対策です。有線のケーブルを光ファイバーに置き換えることで、100mを超える長距離伝送が実現します。

 光LAN接続であれば、電気的には完全に絶縁され、電磁ノイズはカットされます。途中で加わることも有りません。

 というわけでこれを試したところ、多くのマニア、評論家、メーカーも、ネットワークオーディオに一様に大きな効果を認めるようになりました。

オーディオ機器として発売される光LAN接続機器

 最初は産業用の機器がそのままネットワークオーディオに使われていました。しかし、光ファイバーで折角ノイズをカットしても、受信機が産業用だと安価なスイッチング電源が使われている場合もあります。熱心なオーディオマニアは、付属されているACアダプターを使わず、代わりにトランス電源やバッテリーなどの低ノイズ電源を使うケースが増えていったようです。

 こうした動きに目を付けたオーディオメーカーは、電源やクロック品質などを向上させた「オーディオグレード」の光LAN接続機器を発売するようになりました。

 代表的なのはこちらです。

 ステレオサウンドオンラインでも絶賛されているようですが、オーディオ機器だけに結構な価格ですね。

 高音質として評価が定着しているDELAの製品で、光LAN対応のDELAのオーディオNASとも接続できるセット。通常のLAN配線を光配線に変換する光メディアコンバーター、マルチモードに対応する光ファイバーケーブル、光対応機器が装備するSFPポートに挿しこむSFP光トランシーバーの3点で構成とのことです。

オーディオグレードの光LAN機器でいちばんおススメ(欲しい)のは「Fiber Box 2」

 こうした光LANを取り入れることを考える上で、コスト面以外にも悩ましい問題がある。オーディオ評論家の逆木一氏の表現を借りれば「箱が増える問題」です。

光アイソレーションの効果そのものは認めるにしても、そもそもSFPポートを搭載しない製品に対しては、大量に箱やケーブルを増やしまくってまでやるほどのことではないのではないか、というのが私の到った考えである。

https://audio-renaissance.com/review/audio/ediscreation-fiber-box-2-japan-standard-model

 逆木氏のサイトでも紹介されている1つの機材の中で光ケーブルなどを使わなくても光LAN接続のアイソレート効果を実現できるのが「Fiber Box 2」という製品。

 こういうアイデアは、オーディオで光LAN接続が話題になり始めた数年前から筆者は「1つの機材」で出来る装置を探し続けており、ようやく発売されたという印象を持ちます。

 しかしながら、メーカー希望価格(税込) : 396,000円とやはり効果で、入手先も少ないようです。探したところ、執筆時点では「お取り寄せ商品」ながら、シマムセンで扱っていました。

非「オーディオグレード」の一般品で試してみたいが

 これまで紹介したように、現状ではハイコスパの「オーディオグレード」という製品は、この分野では存在していません。コスト的にも「箱が増える問題」的にも、なかなか手出しできない状況が続いていました。

 もともと熱心なマニアが研究・導入してきた通信機・家庭用PC周辺機器を「取りあえずの効果を確かめる」ために活用してみたい、という誘惑も長い間頭をもたげます。ただし、そうなるとまた「箱が増える問題」が障壁となり、堂々巡りが続いていました。

Facebookのオーディオマニアの報告を参考に

 そんな中、Facebookのオーディオ系グループのマニアの報告が目に付きました。

 セットで¥15,200で「素晴らしいの一言」とは、更に興味が高まります。

 というわけで、導入に向けた「後編・実践編」に話は続きます。

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