DirettaをMQAで聴ける(Roon+TIDAL)ようにしました

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Direttaでファイルやストリーミングを聴けるようになった経緯

Direttaの評判が良いことは知っていましたが

 デジタルオーディオ再生で、PCやNAS・サーバーなどの送り出し機器とシステムが離れている場合、つまりデスクトップオーディオ以外だと、接続にUSBケーブルを長く伸ばすのは非現実的(音質劣化が著しいため)となります。

 そういうこともあって、ネットワークオーディオという手法が一般化しました。もっとも、LINNがDSという機器を全世界でヒットさせて世に定着させた時期は、USB接続自体がまだ充分に高音質でなかったという背景もあります。その後は、USB接続も短いケーブルでASIOやWasappiというのが普及してオーディオマニアなどにも受け入られるようになりましたが。

 そうした背景で普及したLANケーブルを通じて音声信号を伝えるネットワークオーディオですが、基本的にはインターネットでのサイトの閲覧と同じHTTPというプロトコルを前提として動かしています。

新オーディオ伝送技術「Diretta」はなぜ音がいいのか。技術詳細やUPnPとの違いを解説<前編> (1/3) - Phile-web
新オーディオ伝送技術「Diretta」はなぜ音がいいのか。技術詳細やUPnPとの違いを解説<前編>

 この新しい手法による再生が高音質なことは、多くの評論家やマニアの報告で充分理解していました。そのため、いずれ導入したいなとは考えていました。

Diretta導入の少し高いハードル

 とはいえ、これまでDirettaを導入するためには、それに対応した機器を買うしか方法がありませんでした。特に受信側は、安いものでもTargetPCという小型ファンレスPCの抱き合わせ販売しかなく、安いといっても一桁台後半万円の出費は悩ましく感じたものです。

 オーディオ機器としては、一桁台後半万円は、マニアにとってあまり高いと思わない価格帯ですが、欲しいのがDirettaというプログラムなのに、その価格の大半を欲しくもない小型PCで占めるというのがどうもしっくりきません。

 その内、プログラム単独で販売されるようになるだろう。そうなると、物理的なものの存在も物流もなくなるので、ぐんと安くなるはず。と思って数年を過ごしました。

ついにDirettaがプログラム単体で購入できた

 待つこと数年、2022年になってようやく、かなり分かり難い方法ですが、実質的にプログラム単体でリーズナブルな価格となったのでさっそく導入しました。導入前に「試用版」ということで、44.1kHzのみですが、お試しができるという親切な配慮も設定されています。さらに、本来100€のところ半額の50€というありがたいキャンペーンもあってハードルが一気に低くなっていました。ライセンス購入時点で日本円で7千円弱でした。

 こうした情報は、なかなか伝わってこなくて、5chとかみみず工房さんのサイト(掲示板)でようやく知る事ができました。

Direttaを聴くための現状のシステム構成(上流)

 Diretta導入前の構成は、以下の通りです。

「Roon(専用自作PCでの専用サーバー)」>「Daphile(ノートPCをネットワークブリッジ化)」>「USBDAC(厳密にはDDCからS/PDIFのオプティカルで単体DACへ)」

 導入後は、こうなりました。

「Roon(専用自作PCでの専用サーバー)」>「Diretta ASIO(普段使いのWindows10PC)」「GentooPlayer(ノートPCをネットワークブリッジ化)」>「USBDAC(厳密にはDDCからS/PDIFのオプティカルで単体DACへ)」

※太字が変更箇所

GentooPlayerがブレイクスルーに

 GentooPlayerは、一言でいうと万能マシン(のLinuxソフトウエア)です。正確にいうとLinuxディストリビューションといって、OSとアプリケーションをセットにして最適なものとして配布(または販売)されているものです。高音質用ディストリビューションなので、不要な機能を極限まで削り込みオーディオマニア向けに作られています。

 GentooPlayerの導入前は、同じくLinuxディストリビューションのDaphileを使用していて、その前はラズパイオーディオで有名なVolumioでした。

 いずれも、Linuxに詳しくない筆者でも扱えるようなGUIというブラウザから設定や運用画面が備わっているものです。コマンドという文字で設定ができる人なら、更に選択肢は広がります。

有償化するだけの優位性があったGentooPlayer

 Linuxは、基本的にボランティアが開発・メンテナンスをしていくオープンなスタイルで、無料のものが多いです。しかし、以前から機能やメンテナンスに付加価値を付けた有償のものが存在します。

 GentooPlayerも少し前までは、VolumioやDaphile同様に無料のディストリビューションでしたが、つい最近有償化されました。似たような有償LinuxでAudiolinuxというのもあるようです。

 なお、Gentooというのが古くからある無料の汎用OS(Ubuntuとかと同じような)で、それをオーディオ用にカスタマイズしたのがGentooPlayerです。

無料のディストリビューションとの大きな違い

 これまで使用したVolumioやDaphileもプラグインという形式で、柔軟な拡張は可能でした。しかしながら、機能上、筆者が最も大きな違いを感じたのは

  • Roonサーバーとして使える
  • DirettaターゲットPCとして使える

 という2点です。

 DirettaのHOSTとしても使えるというのもそれに続くメリットですが、人気の高いHQプレイヤーにも対応しているという利点もあるようです。

音も凄く良かった

 機能だけ優れていても、オーディオなので肝心な音がどうかが最重要です。GentooPlayerの導入は、お試し版で恐る恐る無料の範囲でやってみました。その段階で、今までにない高音質であることを明確に感じました。特にAirplayでの再生は高バランスな高音質で、今でももしかしたらDirettaよりも楽しめる音質かもしれないと思う程です。

 Airplayは、アップルの機器用に開発されたオーディオ伝送方法ですが、いまだにハイレゾに対応していません。そのため、高音質を志向するマニアの間ではこのところ話題にもならないようです。念のため英語でも検索してみましたが、Airplayでのシビアな音質評価を話題にする話は世界中でも発見できませんでした。それが、これほど筆者の心を揺さぶるので、59€支払って、GentooPlayerの有料での利用に踏み切りました。ちなみに、この価格は特定1台のPCでの生涯ライセンス料です。

Direttaの音質はどうだったのか?

 この項目は、まだ使用初めて日が浅いため、順次更新していこうと思います。まだ送り出しのASIOの設定などが使いこなせていないので、暫定的な評価になります。

 まず、一聴して背景の静かさを感じます。技術的にも通常回路で録り切れない低周波帯の歪を抑えてアナログ信号へ伝わるノイズの低減化をするのがDirettaの本質的な技術らしいので頷けます。

普段使いのWindows10デスクトップPCを経由するのが気持ち悪い

 前述のシステム構成(上流)を見てお気付きと思いますが、それまでと比べて、オーディオ的には好ましいと思えない普段使いのデスクトップPCを経由するのが気持ち悪いです。Direttaの音質上のプラス面を一部打ち消すマイナスが無視できないように思います。

 Direttaの凄い点は、ターゲットと家庭内LANとは別にLANケーブルで直結できるというIpv6という技術を備えている点です。したがって、現状の構成からLANアダプターとLANケーブルを追加して直結するという拡張も考えられます。今はまだやろうと思っていませんが、伸びしろがあるのは歓迎です。

 すべての音楽信号の起点となるRoonサーバーは、Linuxで専用のROCKというディストリビューションで構成しています。

RoonサーバーをDirettaのHOSTにしたい

 Windows10のデスクトップPCを排除するのは、そんなに難しい話ではありません。Linuxになれている人なら、Direttaから配布されているLinux用のHOSTドライバーを組み込めばよいだけの話のようです。

 しかしながら、筆者はGUIの画面からしか設定ができませんので、文字で命令を出して設定するには、どなたかが実施した命令文をコピペするような方法しか望めない状態です。

 そのため、オーディオ仲間でLinuxに明るい人を探して頼み込むか、いっそのことプログラマーを雇うという方法も検討しています。この記事を見て助けてくれるという方がいらっしゃったら大歓迎なので「お問い合わせフォーム」からご一報ください!

 もう一つの方法は、59€をもう一度支払って、もう1台分のGentooPlayerライセンスを購入し、GentooPlayerでのRoonサーバーに変更する手もあり、どうするか悩み中です。

(2023.6月追記)その後、GentooPlayerをもう一つライセンス購入して、RoonサーバーとDirettaホストが1つのPCで運用できるように改善しました。

GentooPlayerでRoonサーバーとDirettaHostを1年運用した後、別の方法を知ったので試そうかと

 1年後の2024年6月に、DirettaのHostとして送り出しに使用しているGentooPlayerのDirettaHostがエラーになって、うまく機能しなくなりました。

 ネットワークオーディオをPCベースでやっていると、こうしたトラブルはたまにあることです。しばらく様子を見ているうちに自然と治る場合もありますし、どこかで解決策が見つかることも有ります。GentooPlaye自体、も私の環境では、安定性という点で今一つというか、「まあこんなもんかな」という位にトラブります。

 という事で解決策を探していたら、チッチャイコのブログさんに、音も良くなるという方法が紹介されていたので、これを試そうかと検討中です。

TIDAL経由で聴いているMQAもDirettaで聴けるようになりました

 GentooPlayerは、AirPlayも素晴らしく音が良いのですが、ハイレゾに全く対応していないため、普段よく聴いているMQAでの再生はできません。これに対し、Direttaはそういうストレスがなく、MQAが豊富なサブクスストリーミングのTAIDALでMQAの完全な再生ができますので、その点も優位性があります。

 たしかに、この環境でもMQAでの彫りの付加さ的な音質の向上を感じます。しかしながら、MQA含めハイレゾは、偽レゾという用語があるくらい、音源による出来不出来はありますので、そこはどうしようもないです。

リーズナブルなコストでDirettaが導入できた

 これまで説明したように、RoonサーバーやターゲットPC(ネットワークブリッジ)に使用したPCBのコストを別とすると、今回は、プログラム単体での導入でしたので安く上がりました。GentooPlayerの59€とDirettaの50€(キャンペーンで半額)ですので、合計109€で日本円で2万円を下回るコストです。

 少し前までは、最低でも一桁台後半万円でしたので、満足です。使用したPCは自作や中古ですので、以前の記事でもご報告したように、ヤフオクで数千円で入手できる(メモリとかの方が本体よりも高くつくかもです)レベルですからリーズナブルです。

空気録音の動画も公開しました

 まだまだ調整不足とは思いますが、ひとまずこの段階の音を記録に残すためという事もあって、空気録音の動画を公開しました。

Direttaで空気録音(YouTube)

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