PCオーディオの常識、今と昔

PCオーディオという用語がなかった2000年代に、PCジュークボックスと称して自作専用PC製作
筆者2000年代初期のオーディオPC

オーディオ特化型SNSのサービス終了

マニアに愛されたオーディオに特化したSNS「ファイルフェブコミュニティ」が昨年サービス終了しました。

ツイッターやFacebookと違い、日記ページは各マニアの長文、画像やリンク付きのまとまった投稿が可能だったことから、濃いマニアには大いに愛されたサービスなので終了は残念です。

自分やほかのマニアの投稿を過去にさかのぼって簡単に読み返せる(もちろん検索も可)なので、ツイッターやFacebookのように過去の投稿を読み返すのに不便ということがなく、ストック型のサービスとして他にない利点がありました。

つまり、独自にブログなどを持たなくとも、その人のプロフィールやシステム構成、システムや考察・研究の変遷がまとまって公開・共有できたわけです。

※グーグル検索にもかかるので、登録していないユーザーでもそうした知識やノウハウの共有に参加できました。

このような利点があったため、マニアの中には惜しまれる声が続出しました。ついにその中から有志が立ち上がり、類似機能を持つサイトを独自に立ち上げました。

それが「フィルム・コミュニティ」https://philm-community.com/です。

新サービスに引き続き熱いマニアからの投稿が

新サービスの「フィルム・コミュニティ」は、管理画面の操作がまだ慣れないせいか少し大変だったり、日記に外部リンク禁止という不可解なルールがあったりして使いにくい面もないではないです。

しかし、このようなサービスをボランティアかつ参加無料で立ち上げたというのは、とても称賛に価すると思います。頑張ってほしいです!

「のびー」さんの素晴らしい投稿

その「フィルム・コミュニティ」における2022年5月6日(8月29日修正)の日記投稿に目が留まりました。

日記のタイトルは「PCオーディオの常識もろもろ」というものです。詳しい内容は、リンク先をお読みください。

PCオーディオを始めたのは2005年頃

のびーさんの日記には、のびーさんがPCオーディオを始めたのは2005年頃とあります。

少し前に、私がPCオーディオを始めたころを振り返った動画を公開しました。少し早く始めたようですが、似たようなものです。

2005年からPCオーディオに関するまとめ記事を公開し始めました。今となっては古い内容ですが、一応歴史としてページは残して(旧サイトより移植)います。

特に感心した「PCオーディオ常識の変化」

日記の後半の

ずっと信じていた「PCオーディオの常識」の反例が多く出て来てしまった

フィルム・コミュニティ、のびーさんの日記

から始まります。

具体的に従来の常識と、それが変化したのかしないのか、一つ一つ考察や説明が加えられています。

ここ十年くらい、それまでの常識がいくつか覆りつつあるというのは、大いに共感できます。

のびーさんの指摘と当サイトの考察まとめ

では、ひとつづつのびーさんの指摘をご紹介しつつ、当サイトの考察も加えてみたいと思います。それぞれの意見を否定しあうわけではなく、同意できることや若干違った意見となる場合でも、今後のPCオーディオの発展に繋がればという趣旨です。

低スペックは低ノイズ

以前の常識

CPUのコア数は少ないほど、CPUクロックは遅いほど、メモリー容量は小さいほど良い

最近の傾向

これに対するのびーさんの経験・考察による新しいトレンドは

微細化が進んだ最新のPCでは、高スペックの部品でノイズが気になることは無く、余裕度の高さのメリットの方が大きいようです。

です。

この問題は、上の動画でもテーマにしましたが、正直よくわかりません。のびーさんと同様に、最近多くのマニアが経験上「速い方が良い」と指摘しているのは感じています。

当サイトでは、調査や実験をしまくった訳ではないですが、「速度を上げれば上げるほど良い」という訳ではなくて、OSや使用ソフトウエアに対するバランスで、ある性能で頭打ちになるということかなあ、とアバウトに推測しています。

本当に「速い方がよい」であれば、多くの上級マニアが取り組んでいる「ラズパイオーディオ」やオーディオシステムに繋ぐそうしたシングルボードPCでは、いくらLinuxの軽いオーディオ再生専用ディストリビュートを使うとしても、飽き足らなくなるのではと思います。

また、オーディオ機器(専用機)のネットワーク再生機能などに搭載されているCPUや、類似の働きをするFPGAとかマイコンは、今時のWindowsやMacに搭載されているCPUよりも遥かに遅いと思われ(例外もありますが)ます。

そこを速くすればよいのであれば、ハイエンド機などはこぞって高速CPUを搭載するのではと思ったりします。

しかし、現実には多くのマニアが速くして音質向上したと報告しています。一般的なデスクトップオーディオの「PC+USB」とか、その発展型であればそうなのかもしれません。この問題は、今後も注視していきたいと考えています。

分散は力

以前の常識

サーバー、コントロール、オーディオ出力の3台のPC(もしくは端末)が必要で、機能分散・負荷分散の効果は大きい。 
DLNAやOpenHomeなどのネットワークプレーヤーでは分散が前提になっており、PCオーディオでも操作性に加えて音質面からも分散構成のメリットが強調されてきました。

最近の傾向

のびーさんの意見

低スペックPCを複数使用するより、高スペックPC1台の方が良い。機能分散は通信を伴うことからどうしても構成が複雑になります。新しいPCを簡単な構成で再度聴いてみると結構いけます。

ここは、当サイトはもう少し幅広く受け止めています。

コントロールは、利便性の点が大きいことから別として台数計算から一旦外します。

「サーバー」「オーディオ出力」という構成は、NASとDLNA(改良型のOpenHome含む)という従来型のもので、最近はそれに加えて「ファイルサーバー」「ファイル操作&再生エンジン」「オーディオ出力」というRoonのような2-3台、あるいはそれ以上、それ以下の柔軟な構成にトレンドが変化していることが影響しているように思います。

サブスクの音楽ストリーミング(特に最近はハイレゾ)が一般化してきた影響もあると思います。

オーディオ専用機でも、RoonやDirettaがDLNAに置き換わりつつあるのでは?と感じています。

「ストリーマー」とか同義の「ブリッジ」という新しいオーディオ機器が次々発売され、それらを繋ぐのに「光LAN接続」や「オーディオ専用ハブ」の人気が高まっているのは、分散化の定着現象の一端ではないかと思ったりもします。

少なくとも、プリメインアンプよりも上級者がプリアンプとメインアンプを分けることを好むように、USBDACが直結できるデスクトップオーディオ以外は、ストリーマーとDACは別の方が好ましいかなと考えています。

Youtubeオーディオ動画「ネットワークプレーヤーを買ってはいけない」
当サイトが公開している解説動画、画像クリックで動画再生>>

Linuxを駆使する上級マニアも、Roonブリッジ、Direttaホスト、AoE(Audio over Ethernet)を取り入れる人が少なくありません。

とはいえ、Linuxオーディオで伝統的なMPDというのは、PC2台構成で、外観上はDLNAに似ていますが、人気は衰えてないようです。
※MPDはファイル格納庫(NASなど)との間が、バルク転送なのでDirettaやRAAT、JPLAYは不要という意見も聞いたことありますが、どうなのでしょう?

処理の分散化は、特定の機器への処理集中を軽減し、ノイズや遅延及び瞬間的な電力消費を避けられるというのは、デジタル処理の原則として違っていないように思います。CPUが高性能化してスレッドやプロセスが多数化したため、物理台数や部品を減らしてCPU内部で分散化した方が、オーディオ処理程度であれば結果が良いという事でしょうか?

結局これも結論は出せないのみならず、当サイトの意見も分裂気味でまとめきれない状態です。今後のオーディオ界の進展やマニアの建設的議論を待つ他ないかなと感じています。

OSやアプリは軽いほど良い

以前の常識

引用

「Windows < 汎用Linux < 専用Linux」※軽いほど良い
「Windowsの場合は、プロセス数、スレッド数が少ないほど良い」

最近の傾向

のびーさんの意見は

同じOSなら不必要なプロセスを止めてCPU稼働率を下げた方が良いという鉄則は、まだ有効だと思います。

ここは同意見で、あまり変わっていないと思います。

のびーさんは、感覚的にWindowsの音が好き派ということですが、私は逆にLinuxの音が感覚的に好きで、その違いはあります。

デジタル・インターフェイスが大切

以前の常識

「SPDIF < USB < I2S」主義主張はともかく、多くのDACがUSB接続を前提としています。

最近の傾向

のびーさんの経験・考察は

多くは理論的に説明がつくし、経験上も正しいものです。ただ、総合的な音質にどれだけ影響するかは実装状況により大きく変化します。理論的に説明がつかないものでも自分が適当な理論を知らないだけかもしれません。

ここも、10年前と変わらないという部分は同意見ですし、経験・考察にも異論はありません。

少し当サイトなりに整理してみます。

SPDIFは規格が古すぎて、これ以上の性能向上は見込めない印象ですが、現在のハイレゾの192/24(例外的にそれを上回る音源もありますがとても少ない)という範囲はカバーできていて、新しい規格の映像伝送兼ねたHDMIなどよりメーカーもマニアも扱いやすいと思います。

USBは、以前はかなり良くないといわれましたが、改良やノウハウが進み、機能上はより高いサンプリング周波数・Bit数も送れるのでSPDIFより上と思います。

音質は実装次第で、通常音源ならベースに優劣はない印象です。

I2Sは、ベースの力は、上記の2つを上回りますが、伝送距離が短く、弱点も感じられます。

当サイトとしては、できるだけ多くのインターフェースを積んだ機器が望ましいとは考えており、活用法はユーザー次第がよいなと思っています。

電源は容量よりも低ノイズが大切

以前の常識

「スイッチング電源 < リニア電源 < バッテリー電源」 音楽再生専用PCは負荷変動が小さく、電源も瞬時電力供給能力より低ノイズが大切と考えられていました。

最近の傾向

のびーさんの経験・考察は

微細化が進んだ最新のPCでは、高スペックの部品でノイズが気になることは無く、余裕度の高さのメリットの方が大きいようです。高スペック部品を余裕をもって使用するためにリニア電源から最新のATX電源に変更すると更に良くなりました。

電源に関しては、オーディオの肝であり、ハイエンドメーカーでも巨大なトランス搭載でリニア電源にこだわるメーカーも、Linnのように早い時期からスイッチング電源を取り入れそれの改良に努力するメーカーもあります。

当サイトでは、音質の面よりも、実用上PC(500Wを上回るような今時のデスクトップ)のバッテリー駆動やリニア電源は大変なので避けてきた傾向であります。

小型PCであれば、ノイズ周波数の高いGaNが音質的に良いのではということで、以下のような動画を公開しています。

当サイトが公開している解説動画、画像クリックで動画再生>>

大型PCに搭載可能なGaNのATX電源が、すでに発売され、一部オーディオマニアが取り入れているようです。

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今後は、こうした大型PCに対応するGaN電源のコスパがよくなることを期待します。

その他&付け加え

日記でのびーさんが指摘しているその他いくつかの点は、特に異論も付け加えることも有りませんでした。

「現時点でパーフェクトな再生ソフトは見当たらない」
「USB DDコンバーターは結構いけます」

一方で、当サイト独自に、常識が変化したことが思い当たりました。

以前→「ビットパーフェクトなら音に変化はないので、リッピングはパーフェクトにできる(補完がかからない)機器とソフトを使用しよう」
昨今→「デジタルファイルとしては同一なはずなのに、リッピングで音が変わる

その後、コピーするとアナログのように劣化するとか、デフラグやフォーマット変換すると高音質化するとか、クラウドを通すと元に戻る、とかいろいろな意見も見かけました。理論や何が正しいかはわかりませんが、「音が変わる」という認識が昨今のトレンドのように思います。

まとめ

今回のように「PCオーディオ」で括るか「デジタルオーディオ」と広げるかでも、いろいろニュアンスも変わってくるように思います。

のびーさんの日記には、常識の変化とは別に他にも現段階で取り入れているノウハウや考察が記されていて、とても参考になりました。

まだまだ当サイトとしても、オーディオマニアの世界もメーカーも不明な点は多く、考え方やトレンドは変化していくと思います。

より良い向上に向けて、当サイトの情報共有が少しでも役立つことを願っています。

この記事の動画版も公開しました

同じテーマでの解説動画をYouTubeに公開しました。ブログには記載しなかった内容も一部含まれます。ぜひご覧ください!

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