古いノートPCを活用して高性能ネットワークブリッジをDaphileで構築しました

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高音質LinuxのDaphileで古いノートPCにネットワークブリッジを構築

 最近は、ストリーマーという言い方もされていますネットワークブリッジですが、この存在と性能がシステムの音質に大きく影響されるという考え方が一般化しつつあります。直接PCをUSBケーブルなどでDACに接続するのがPCオーディオであるのに対して、PCやNASおよびオーディオ機器をLANで繋いで再生するのがネットワークオーディオです。PCオーディオはデスクトップオーディオなど、小さいスペースにシステムを構築するのには向いていますが、リビングオーディオ(部屋全体にシステムを構築)では、PCとシステムが離れている場合が多く、また再生中は騒音やノイズ源になるPCを起動させたくないということからネットワークオーディオを導入するマニアが増えている(もはや当たり前?)と思います。

ネットワークブリッジ(ストリーマー)とは?

まずは、ネットワークオーディオにおけるネットワークブリッジ(ストリーマー)について

 ネットワークブリッジ(ストリーマー)を説明するのに、まずはネットワークプレーヤーについて思い起こしてみるのが理解や頭の整理に良いと思います。

 ネットワークプレーヤーは、家庭内LAN(普通はルーターを通じてインターネットに接続されている)のLANケーブルを接続して、ネットワーク越しに再生(ストリーミング再生)ができる機器です。ネットワーク内のストレージ(NASやPCとかスマホ)内の音源ファイルや、AmazonやTIDALなどのクラウドストリーミング、さらにインターネットラジオの再生ができるというのが一般的です。

 いわゆる単体DACもUSB入力やLAN入力(最近ではさらにwifiやブルートゥース入力)を内蔵させてもコスト的には大きな違いが生じないので、ネットワークプレーヤーと称した商品でなくてもネットワークプレーヤーの機能を持ったDACが珍しくありません。本来はCDプレーヤーやAVアンプである機器もそれらを備えているものが増えていると思います。

 いずれも、端子と小規模なボードを足せば良いもので、インターフェース(株)のように、オーディオメーカーにそうしたボードを開発・供給するメーカーも一般化しているようです。

 ネットワークブリッジ(ストリーマー)は、そうしたおまけの回路でも済むような機能を、外付け、単体化したものです。一見無駄のように思える機器ですね。ではなぜ、単体化した機器が複数発売されるようになったのでしょうか?答えと思われる要素は3つ考えられます。一つは機能を別の機器に分散化することで音をよくするため。二つ目は、以前導入した機材にそうした機能が付いていない場合。三つ目が、機能や規格・性能が日進月歩であるため、DACメーカーのファームウェアアップデートなどに縛られず、よりきめ細やかな機能の充実やアップデートに対応できる、という事だと考えています。

 機能分散は、一番わかりやすくいうと、普及価格帯商品に多いプリメインアンプをセパレートして上級マニア向けにプリアンプとパワーアンプに分けたものをイメージすると分かりやすいと思います。分けることによるデメリットもありますが、トータルでの音質や性能向上を期待する訳です。

2012年頃使ったネットワークプレーヤー
2012年に初めて導入したネットワークプレーヤー
2012年頃使用したネットワークプレーヤー(裏面)

ネットワークブリッジ(ストリーマー)を少し技術的に解説すると

 LANケーブルで接続された機器は、機器同士が「TCP/IP」という国際標準の通信規格によって通信が可能になります。LANという家庭内や企業内のネットワークのみならず、インターネットを通じて世界中の機器が繋がっている(意図的にネットワークを独立させたり遮断することはあるが)訳です。

 一方で、音楽ファイルを再生するには、いくつかの規格がありますが、ぞれぞれの約束された手順によって「音楽ファイルの置き場」「ファイルの読み込み・変換・送り出し・受け取りをする機器」「それらに命令を下すコントロール機器」が通信してストリーミング再生(伝送しながら再生する)を行います。

 ブリッジとは、直訳すると橋ですので、ストリーミング再生の橋渡しを行う機器となります。ストリーミング再生のそれぞれの役割を行う機器から送り出されたデータを、DAC(DAコンバーター)が扱えるUSBオーディオやS/PDIF(同軸やTOSLINK)に変換する、翻訳機的な機能です。

 ただし悩ましいのは、ストリーミングにはいくつかの規格(代表的なのはISDN/UpnP)があり、それらはどの危機がどこまでの働きを行うかについても統一されていないため、送り出しの機器構成やソフトウエアによってどの規格に対応するのかは、ブリッジのソフトウエアで決められています。そこで、先に説明したようなソフトウエア更新の柔軟性があれば、新しい規格やアップデートされたより良い方法に対応できる可能性が広がる訳です。

TCP/IPのイメージ画像

シングルボードPCやスティックPCでもネットワークブリッジ(ストリーマー)は構築可能

 筆者は、教育用シングルボードコンピュータであるラズベリーパイ(通称ラズパイ)を使ったネットワークオーディオ活用の本格的なオーディオシステムへの組み込みが流行した時に、それを試してみました。

 さらに、スティックPCの一種であるamazonスティックを活用したネットワークオーディオも試しています。

amazonスティック活用の高音質ネットワークオーディオ
Youtube動画

 一般的なネットワークオーディオの手法であるDLNA/UpnpやAirplayでは、そんなに強力なCPUでなくともソフトウエアがしっかりしていれば、場合によっては市販オーディオ機器を上回るりコストパフォーマンスに優れたネットワークブリッジが構築できることを体験しました。

Linuxを活用したネットワークオーディオのメリット

Linux(Linuxオーディオ)の音が好き

 以前はPCオーディオではMacが音質的に評判がよく、Windowsはかなり対策しないと音が悪いという評価でした。今でもそれは本質的には変わっていないと思います。

 一方で、LinuxというオープンソースのOSは、基本的には無料であるけれどもスキルがないと使いこなせない存在で、もっぱら業務用のサーバーなどでプロのエンジニアが使うというものでした。ただし、その流れの中でも、家庭用のPCで使えるようにカスタマイズされたOSやアプリケーションも世界中のボランティアによって開発されてはいました。ubuntsuというのが有名ですが、Windowsと違って、神経質なウイルス対策などが不要なため、古いPCでもサクサク動く軽さがそのメリットとして備わっています。

 それでも、音楽再生となるとPCオーディオが発達するまで、音質に対する需要がなく、Linuxではあまり顧みられてこなかったようです。しかし、PCが当たり前に映像や音声を扱うようになり、ついにLinuxも高音質な音楽再生に耐えられる仕組みが開発されました。

 それでも、スキルのない筆者は他人事でしたが、時にSNSでオーディオマニアから勧められることがありました。

 ある時、もう一つの趣味のゴルフ(のラウンド)が早めに終わった日があり、休日の余暇を有意義に過ごすためにありものでLinuxオーディオを試す機会を持ちました。これが想像以上に音が良く、ここでLinuxオーディオのファンになった、というのがいきさつです。

 この時試した方法の発展形がこちらです。

Youtube動画

余計な機能を省けるLinuxOS

 WindowsやMacでは、汎用(何にでも対応できる)OSの上にアプリケーションソフトが乗っかるという構成が基本になっています。Linuxもこうした構成は基本形としてあるのに対して、応用系で「余計な機能を省く」もしくは「必要な機能のみでOSとアプリケーションを一体化して開発する」という方法があります。

 決められた範囲のことしかできない半面、中身がシンプルなので、アップデートも楽でCPUやメモリーに負担が少ないため、さらに低スペックのマシンでも動作が楽になります。

 ベースはLinuxの世界ではメジャーな汎用OSを活用するため、開発の手間も省力化でき、元のOS側のアップデートも容易に反映できる仕組みになっています。

遊びやボランティアでもユーザーが多いため改善スピードが速い

 ソフトウエアを少しでも学んだ人は良く分かると思いますが、ソフトウエアの機能とUI(ユーザーインターフェースつまり使い勝手)は、ユーザー数に比例する傾向が強くあります。

 Windowsが世界標準のPCで使われるのも、officeが世界標準のビジネスアプリとして普及しているのも、ある時点でユーザー数がライバルより格段に多いため、商業的にもユーザーのフィードバックという点でも改善ベクトルがライバルを圧倒したためといえます。

 ここで音楽再生に視点を戻してみましょう。オーディオ機器に組み込まれるデジタル処理のソフトウエアは、市販品ではオーディオ機器メーカーが開発するか、先に紹介したインターフェース(株)のような専門企業から供給を受けることになります。

 イギリスのLinnのようにオーディオメーカーとしては先進的な取り組みに力を入れ、世界中のユーザーの購買力を背景にソフトウエア開発にもお金をかけて取り組み企業もあります。なおかつユーザー数もそれなりに多い。

 しかしLinuxオーディオが盛んになると、ユーザーは「無料」であり、開発者は「ボランティア(つまり採用試験とかない)」ことから、改善スピードはオーディオメーカーの開発規模を上回ることが容易に想像できます。

 イギリスのRoon(人気で有料の高機能音楽再生ソフト)の開発元であるRoon Labsの公式掲示板などを読むと、オーディオ機器やソフトウエアメーカーも、ゼロから自社開発するのはLinuxや大手の同業他社に太刀打ちできないのが自明の理であるため、彼ら自身がLinuxオーディオをベースに開発している場合が多いことが伺えます。

ラズパイオーディオで一気に高機能・高音音質化したLinuxオーディオ

 ラズパイオーディオは、こうしたLinuxオーディオの恩恵を受けると同時に、もう一つ新しい独自のオーディオ的発展性を持ち合わせていました。

 タバコサイズ程度のシングルボードで、電源はスマホなどの充電器が使えるという手軽さに加えて、ボードにはGPIOという物理的にも電気的にも同じサイズの周辺機能のボードと簡単に接続できるピンを持っています。このピンからI2SというDACの動作に必要な信号を送れば、DACを仕込んだボードによって、簡単にネットワークプレーヤー一式が成立してしまします。

 信号が短い経路でちょっけすできることも有り、これが思いのほか高音質ということで、「ラズパイオーディオ」という新分野が誕生し、オーディオマニアを兼ねた世界中のマニアがこれに関心を示しました。

 こうなると、それ専用のDACボード(部品も機能も少なく概ね数千円とかなり安価)も数多く開発製造され、ソフトウエア開発も中には個人で高性能版を開発する猛者も少なからず出現するほど活性化しました。というわけで、今では市販機器を上回るのではと噂されるディストリビューション(OSとアプリが一体化された配布ソフトウエア)がいくつか誕生し、さらに改善を重ねられているというのがLinuxオーディオの現状だと思います。

ついでに開発されたPC(x86版)Linuxオーディオ・ディストリビューション

 ラズパイオーディオで活性化されたLinuxオーディオのディストリビューションの中には、おそらくついでに開発されたと思われる「x86版」というのが配布されていたりします。「x86」というのは、Windowsが動作するPCの仕様です。すなわち、Windows用に販売・自作されたPCであれば、すでに方が古くて実使用をあきらめた機器であっても、軽いLinuxでは十二分な動作が期待できるという状況が生じていました。

 ただし、ラズパイと違い、シンプルで安価なDACボードはWindowsマシンの世界にはありませんので、USBでDACに接続するというのが主流になります。昨今のDACは、USB入力が備わっていることが多いため、これはあまりネックになりません。それよりWindowsでしばしば問題になるUSB接続の相性や専用ドライバについて、Linuxオーディオでは、より開発が(内部ドライバのような機能)進んでいるため機器を選ばない傾向が大きいです。

※新しいUSBDACが発売されると、入手したユーザーがLinuxの開発ボランティアに通報して、Linux用内部ドライバがすぐに開発(比較的簡単らしい)され世界中で共有する仕組みらしいです。

 DACへのUSB接続であれば、電源回路や電磁シールドなどでラズパイよりもオーディオに向いているケースもあり、さらにコストを要しない古いPCの活用というのはエコな活用法でもあります。

Volumioで試してみました

使い道のなかったPCでLinuxオーディオを

 こちらの画像は、撮影の日付を見ると2018年の2月とあります。結構長く使用したので、導入は遅くとも2017年の初期くらい?かと。初期のネットブックというノートPCで、2010年には使っていたのでそれ以前に購入した元々が安価で低スペックの軽量ノートPCです。当時は、インターネット回線の契約のおまけとしてゼロ円PCなどとも呼ばれていたものです。

 さすがに2017年位だと使い道がなく、しまい込んでいたPCです。これを、ラズパイオーディオでは最も有名なVolumio(当時Vilumio2)にx86版があることに気付きUSBメモリにディストリビューションを焼き込んでそのままUSBメモリから起動し運用する方法で試してみました。

 キーボードとディスプレイがあることで、むしろ使い勝手も良く、音質も納得いくレベルだったのでお気に入りとなりました。

 何よりも、これを契機に、ネットワークオーディオプレーヤーにお金を投じるのは馬鹿らしくなり、DACは、純粋にDAC機能のみで購入すべきだとの考えに至った訳です。

Youtube動画

古いノートPC活用法として多くの方と情報共有したい

 こうしてLinuxを活用したネットワークブリッジ(ストリーマー)の活用に、音質とコストの面で大きなメリットを感じるようになり、その後もRoonの導入では、Roonブリッジというネットワークブリッジ機能を、わざわざ音の静かな古いネットブック(すでに以前のものは手放していました)をヤフオクで購入して、市販のものと比較の上、常時使用に至っています。

 その時に気付いたのですが、ノートPCをベースにすれば、導入時のキーボート・マウスパット・ディスプレイ使用に加えて、運用時は蓋を閉じてスリムな運用ができるという事を発見した訳です。これは地味ですが実用上かなり大きなメリットで、場所も取らず、見た目も良いです。汎用のスタンドを導入しました。

現時点で最も高音質と評判のDahileを導入してネットワークプレーヤーを構築

 Daphileについてと、具体的な手順は、それぞれ動画にまとめました。

 エコで高音質であるため、是非皆さんもトライしてください!

Daphile紹介動画
Daphileインストールガイド動画

※なお、撮影に使用したDaphileインストールPCは、ヤフオクに出品中です。(一品ものなので売れた場合はゴメンナサイ)。→無事、千葉県のユーザー様から落札されました。

追記、TIDALも対応のおすすめの、アンドロイド用UPnPコントローラー

 今回インストールしたDaphileは、デフォルトではSqueezeBox仕様のネットワーク再生ですが、プラグインを追加インストールすれば、一般的なDLNA/uPnpレンダラーとしても(airplayも)使えます。その場合のおススメ(アンドロイドスマホ用)コントロールアプリは、こちらで紹介したものが良いと思います。

有料ソフトも試す価値あり?

 無料ソフトでは、このDaphileがとても優秀だと思いますが、有料のLinuxソフトもその後試してみました。機能や音質的に、有料の優位性も充分可能性を秘めたものと感じましたが、設定が難しいので、結構なスキル(CUIまでは必要ないですが)が必要だと思います。

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