USBDACと、Qobuzなどハイレゾストリーミングの伝送方法は大きく違う(再送の有無など)

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HiFiオーディオシステム
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まず、デジタルオーディオの伝送について

コンピュータはすべての情報を「0」と「1」の組み合わせ(バイナリ)で処理します。それを物理的な電気回路で伝える際、「電気がある(オン)か、ない(オフ)か」で伝えますね。

→ 実際の電子回路(TTLやCMOSなど)では、0V(低)と5V(高)といった電圧の差で判定するようです。

より専門的で正確な文脈では、「マンチェスター符号」とか、デジタル伝送は電気信号だけでなく、光ファイバー(光の点滅)や無線(電波の位相や周波数の変化)も含まれるとか細かい説明が加わるのですが、ここでは割愛します。

    USBDACは、再送を使わない

    今時のHiFiのUSBDACは、「アイソクロナス転送」「アシンクロナスモード」を使用しています。


    🎧 USBオーディオの基本:3つの転送モード

    USB には4種類の転送方式がありますが、オーディオで重要なのは次の3つです。

    転送方式特徴オーディオ用途
    Control設定やコマンド用使う
    Bulk再送あり、確実だが遅延が大きいHDD・プリンタ向け、オーディオには不向き
    Isochronous(アイソクロナス)時間保証、再送なし、リアルタイム向けUSBオーディオはこれを使用

    USB Audio Class(UAC1/2)は アイソクロナス転送を使うよう規定されています。
    理由は「リアルタイム性が最優先」だからです。


    🎧 アイソクロナス転送とは?

    一定周期でデータを送り続ける方式です。

    • 1msごとにフレームが送られる
    • 帯域が予約されるので、他のUSB機器に邪魔されにくい
    • ただし エラーが起きても再送しない(音飛びを避けるため)

    つまり、“多少のエラーよりも、時間通りに音を出すことが最優先”という思想です。


    🔥 そしてアシンクロナス(非同期)モードとは?

    アイソクロナス転送には3つのサブモードがあります。

    モードクロックの主導権旧来の用途
    SynchronousPC側初期のUSB DAC
    AdaptivePC側が主、DACが追従中級機
    AsynchronousDAC側が主導現代のHiFi DACの主流

    ✔ アシンクロナスモードの核心

    DAC が自分の高精度クロックで再生タイミングを決め、
    PC に「今これだけデータを送れ」と指示する方式。

    つまり:

    • PCのクロック → 信頼しない
    • DAC内の高精度クロック → 主役
    • PCは「データ供給係」に徹する

    これにより、USBオーディオ最大の敵である ジッター(時間揺らぎ) を大幅に低減できます。


    🎛 なぜアシンクロナスが音質に効くのか?

    DAC の音質を決めるのは D/A変換のタイミング精度です。

    アシンクロナス方式では:

    ✔ DAC内のマスタークロックが絶対基準

    → PCの不安定なクロックに左右されない

    ✔ バッファを使ってデータを一時蓄積

    → PC側の転送ムラを吸収

    ✔ USBノイズの影響を受けにくい

    → 電源・グラウンドの揺れをクロックに持ち込む量を少なくする設計が可能

    結果として:音像の安定、定位の明瞭化、低域の締まり、空間の静けさ といった“HiFiらしい改善”が期待できます。


    改良型のバルクペット転送は?

    Bulk Petは、インターフェイス株式会社が開発した独自のUSBDAC転送技術で、音質面での改良型と言えると思います。ただし、ライセンス契約を結んだ特定のメーカーに採用が限られています。

    • TEAC(ティアック)Esoteric(エソテリック)Luxman(ラックスマン)SOUOLNOTE(ソールノート) などの国内ブランドが中心です。

    海外への普及は、あまり進んでいないようです。

    項目アイソクロナス転送(標準)Bulk Pet(バルクペット)
    データ送出一定時間ごとにまとめて送る小刻みに、かつ一定のペースで送る
    負荷の状態PC/DACのCPUに瞬間的な負荷がかかる負荷が一定(フラット)になる
    音質への影響負荷の変動がノイズの原因になりやすい電源変動を抑え、音色の微調整が可能

    ネットワークオーディオのハイレゾストリーミングでは「再送」あり

    Qobuz(コーバズ)やAmazon Music、TIDALなどのハイレゾストリーミングサービスでは、「再送」が行われます。

    ここが前述の「USBのアイソクロナス転送(送りっぱなし)」との決定的な違いです。ストリーミングでの「再送」など、その仕組みを整理しました。


    1. 使用されているプロトコル(通信規約)の違い

    インターネット経由のストリーミングは、主にTCP/IPという仕組みを使っています。

    • TCP(Transmission Control Protocol):データの「正確性」を何より重視するプロトコルです。Webサイトの閲覧やメール、ファイルのダウンロードと同じ仕組みで、「データが届いたか」を常に確認し、届いていなければ自動的に再送します。
    • USBアイソクロナスとの違い:USBの標準方式は「時間のリアルタイム性」を最優先して再送を捨てましたが、インターネット通信は「データが1ビットでも欠けたらファイルとして成立しない」という前提で作られているため、再送が標準装備されています。

    2. 「バッファリング」が再送を可能にする

    インターネットはUSBケーブルの中よりも通信が不安定です。それなのに音が途切れないのは、**「バッファ(一時蓄積)」**のおかげです。

    • 先読み機能: 再生ボタンを押すと、アプリは数秒〜数十秒分のデータを先にダウンロードしてメモリに貯めます。
    • 再送の猶予: 通信中にパケットが欠落して再送が行われても、バッファに貯まったデータを再生している間に再送が完了すれば、聴いている人には一切気づかれません。

    3. もし再送が間に合わなかったら?

    電波が悪すぎて再送を繰り返してもデータが揃わない場合、ストリーミングでは以下のようになります。

    1. 再生が止まる(ぐるぐるマーク): データが揃うまで再生を一時停止します。
    2. ノイズは出ない: アイソクロナス転送のように「壊れたデータを無理やり鳴らしてプチッという音が出る」ことは基本的にありません。データが完璧に揃ってから音を出すからです。

    比較まとめ

    項目USBアイソクロナス(標準)ハイレゾストリーミング(Qobuz等)
    再送なし(時間優先)あり(正確性優先)
    データの欠損補完される、またはノイズになる欠損したままでは再生しない
    バッファ極めて小さい(リアルタイム)大きい(数秒〜数十秒)
    音質の考え方転送時の負荷変動を気にする届いたデータ自体は常に100%正確

    UDPという「再送」なしの方式も

    ネットワークでも、**UDP(User Datagram Protocol)**を採用している通信では、基本的には「送りっぱなし」で再送制御を行いません。

    Qobuzなどのハイレゾ音楽ストリーミングと、YouTube LiveやZoomなどのリアルタイム通信(UDP採用)では、同じ「ストリーミング」という言葉を使っていても、実は採用しているプロトコルが異なります。

    ここを整理すると、デジタルの仕組みがよりスッキリ見えてきます。


    1. なぜQobuzはUDPではなくTCP(再送あり)なのか?

    QobuzやApple Musicなどの「音楽配信」は、正確にはオンデマンド・ストリーミングと呼ばれます。これらは以下の理由でTCP(再送あり)を使います。

    • 1ビットのミスも許されない: ハイレゾ音源は「原音に忠実であること」が商品価値です。UDPでデータが欠落して「プチッ」とノイズが入ることは、サービス品質として許容されません。
    • バッファができるから: ライブ配信と違い、数秒の遅延は問題になりません。先にデータを溜め込んでおけるため、再送する時間が十分にあります。

    2. UDP(再送なし)が使われるケース

    一方で、ユーザーが指摘された通り、再送を行わないUDPは以下のようなシーンで活躍します。

    • ライブ配信・Web会議(Zoom, Teamsなど): 0.1秒の遅れが致命的なため、古いデータを再送するくらいなら「捨てて最新の音を届ける」ことを優先します。
    • IP電話: 声が途切れても、会話のテンポを維持することを重視します。

    3. 【最新動向】UDPなのに再送する「QUIC / HTTP/3」

    最近では、このTCPとUDPの「いいとこ取り」をした技術が普及しています。

    実は、GoogleやYouTube、一部の最新ストリーミングサービスで採用されているHTTP/3は、土台にQUICというプロトコルを使っています。

    • 土台はUDP: 接続の確立が速く、身軽。
    • でも再送はする: アプリケーション層(QUIC自体)の仕組みで、欠損したデータだけを賢く再送します。

    結論:

    昔ながらの「UDP = 再送なしで音が途切れる」という図式は、現在の高度なストリーミング技術(HTTP/3など)によって、**「UDPの速さを持ちつつ、再送もして音質を守る」**という形に進化しています。


    まとめ:方式ごとの「再送」の有無

    通信方式プロトコル再送の有無主な用途
    USB標準 (アイソクロナス)USB物理層なしDACへのリアルタイム伝送
    音楽ストリーミングTCP (HTTP/2)ありQobuz, Amazon Music
    リアルタイム通信UDPなし電話, ライブ放送
    最新のWeb通信QUIC (HTTP/3)ありYouTube, Google関連

    「通信経路では再送して完璧なデータを届けるのに、最後のUSBケーブル区間で再送がなくなる(アイソクロナス)」という点が、オーディオファンがUSBケーブルやBulk Petにこだわる面白い矛盾点と言えますね。

    余談>デジタルで音が変わるという、よくあるテーマの動画を公開

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