OTOTEN 2022報告とオーディオイベントの小歴史など<後編・報告編>

OTOTEN2022のMQAコーナー

今回は、体調のことなどもあり1日弱の参加でしたが、どこでどのような話を聞いたかをまとめてみたいと思います。

前編はこちらです。

オーディオイベントは聴く場所であり聞く場所でもある

筆者がオーディオに詳しくない時代は、もっぱら試聴タイムに新製品などのシステムのデモ再生を聴かせていただき、試聴タイムでの解説(メーカーやゲスト評論家など)を聴くのがいっぱいいっぱいでした。

オーディオが趣味となり、各種オーディオ誌も定期的に購読するようになると、機器にも詳しくなりますし、日頃の疑問も溜まってきます。特に自作を始めると、技術面での疑問も多く生じます。

展示会・見本市というのは、筆者がサラリーマン時代には仕事関連で展示者側も来場者側も数多く経験しています。よほど人気とか人手不足の展示コーナーでなければ、来場者の質問はうれしいものです。「反応があった」「手ごたえがあった」「指摘で気付かなかった部分を知った」など、仮にクレームだったとしても前向きに受け止められることがほとんどでした。

逆に、出展したものの、華やかさに惹かれて担当者以外の社員も多く駆け付けたものの、肝心の来場者が寄り付かないという事もありました。手持無沙汰でもあり、寂しいものでした。

「せっかくの機会だから数多く質問しよう」というのは、実は学生時代に先輩からアドバイスされたことなのですが、当時は「?」でした。自分自身に知見が貯まっていないと、なかなかそうならないものです。

展示者や来場者に意見することも

慣れてくると、展示者に意見することが生じました。数多くスピーカーやアンプなどを並べて熱心に解説するのは良いのですが、どのスピーカーやアンプで再生されているのかわからない場合があります。

こちらも時間を割いて聴きに来ているので「再生中の札を立てて下さい」をいう話は、多くの展示者に申し上げました。そのためか、最近は工夫が進んでいるようにも思えます。

サイトやSNSなどを通じて、来場者にも意見することがあります。「後方入口のところで溜まって、前方が空いているにもかかわらず出入りや試聴の妨げになるケース」これが多いです。当初は、ドアを開けたらとても入るスキがない混雑で諦めることがありました。慣れてくると、出入り口の群衆を押しのけると、システムに近い前方のスペースが空いていて、ちゃんと聴けるポジションがキープできたりします。

ついでに、席が満席でも、しばらく前方で待つと席を立つ人がいてすばやく席を確保できたりします。微妙な混雑の場合も、遠慮せずに空席に突進することがオーディオイベントのコツだと思っています。

花田スピーカー研究所

こういう、既成の概念の枠外から開発したスピーカー(試作品)というのが、以前の開催でも良く出品されていて楽しみの一つでもあります。

今回は、こちらのものくらいしか見かけませんでした。会場が立派になって、出展料もそれなりになったためかと推察しています。

展示自体が、新しい技術をわかりやすく工夫されていて、質問は特になかったので、立ち聴きでスルーしました。筆者には「目から鱗」というような音に感じなくて「今後の伸びしろに期待」というこうした出展にありがちな印象を持ったためです。

開催前から、紹介サイトで目を付けていたので真っ先にお邪魔しました。
同社のサイトは、技術面で勉強になります。

次世代音質の提案
OTOTEN への出展、無事終了致しました。 たくさんのご感想、有難うございました。 出展に関する情報(パンフレット、使用曲の紹介) を掲載しています。

SONY(SA-Z1)

OTOTEN2022のSONY展示

会場レイアウトの関係もあり、次にお邪魔したのがSONY。技術的にも斬新で価格的にも破格のデスクトップモニターが展示されていました。新しい技術という点で以前から興味があったのでお話をお伺いしました。

質問:SONYは、オーディオ開発部門の期待値が社会的にも社内的にも低空飛行で、ウォークマンくらいしかまともにやれない状況では?開発部門のモチベーションは?

回答:もともとがオーディオ開発メーカーとしての歴史や自負があり、モチベーションはいまだに高いです。

社交辞令も含まれるかもしれませんが、希望の持てる回答が戻ってきて元気付けられました。当サイトやYoutubeチャンネルでも取り上げることが多い企業ですので、頑張って欲しいです。

こちらのページや、Youtubeでも再三取り上げたAV用ハイコスパスピーカーの「SS-CS」シリーズについても聞いてみました。趣旨をお話ししたところ、スピーカー開発担当者を探してくれたのですが、あいにく離席していてつかまりませんでした。詳しい話は次の機会となりました。

というわけで、冒頭のニアフィールドパワードスピーカーSA-Z1を聴かしていただきました。こうした小型の機材は、大型フロアスピーカーを大きな会場で試聴する場の多いイベントでは、耳がマヒしてか細かい評価がやりにくい傾向を感じています。

少なくとも、デスクトップモニターをニアフィールドで聴いているにもかかわらず、スピーカーの存在感が消えるという高度な再現性は感じる事ができました。

ブライトーン(LUMIN,SOtMほか)

続いては、輸入商社のブライトーンです。同社は、当サイトでも重点的に扱うネットワークオーディオ機器を熱心に取り扱っています。

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比較的最近公開した動画で話題にした「amazonスティックでのハイレゾ再生」というマイナーな(?)話題を奇遇なことにAV誌のハイビ編集長が解説されました。

動画制作時に疑問に思った、amazonスティックをTVのHDMI入力に刺して使用する(一般的な接続)場合に、TV側のハイレゾ対応はどうなっているのか?について質問する予定でした。

そんな細かいマイナーな疑問を調べようとするのは自分ぐらいだろう、と思い、終了後の質問を心待ちにしていました。

しかし、編集部もその点は疑問に思い調べた様で、東芝、SONY、パナソニックなど手元にあった5社のTVで調べたら、ハイレゾ対応していたのは、SONYとパナソニックの2つだった、という説明をされました。

たまたま調べた中でそうだったという程度の調査しかできていないとのことでしたが、この他にも細かい点も解説され、終了後に質問する内容は無くなってしまいました。

試聴した音に関しては、我が家では感じることのできない点がありました。それまでのストリーミングのネットワーク再生の音質レベルから、amazonスティックに変えると、明らかにノイジーになります。

我が家では、間にToslinkを入れたり、電源対策をしているので気にならないのですが、素の状態でamazonスティック→モニター→DACと繋ぐと、ノイズやジッターが無視できないレベルで音質が下がるなという印象を持ちました。

MQA(推進団体)

OTOTEN2022のMQA出展

やや小さめの部屋に展示のみでの出展でした。以前は、SACDの推進団体やさらに以前はデジタルTV放送のBモードなど、音声フォーマット推進団体の出展というのがありましたが、今回は時代の流れか、ハイレゾフォーマットとして普及が進むMQAが参加です。

当サイトやYoutubeで扱うことが多いものなので、変化球的な質問をしてみました。

質問:かなり音源が増えてきましたが、エイベックス系が参加してなくて寂しいのでは?

回答:そうなんですよ。4年前に勧誘したのですが依然前向きな反応はありません。皆さんも要望してみてはどうでしょう?

というわけで、さっそく動画を作って公開しました。

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ちなみに、MQAを初めて知って聴いたのがこのOTOTEN(たぶん2013年のお台場開催)で、開発者が来日して講演されました。当時、内容は理解できませんでしたが音は感動的でした!

TEAC

OTOTEN2022のTEAC展示試聴

実は、日頃関心の高いメーカーなので、いろいろ質問しました。

質問:これまでチップを使ったDACで成功してきたのが、ディスクリートDACを開発した意図は?

回答:やはり、さらなる伸びしろを求めてという点です。社内的にもディスクリートDACは一枚上という評価をしていて自信を持っています。

質問:ディスクリートDACなのにMQA対応とか、以前の機器も外部クロック導入とか、他社よりサービス精神が高いように感じますが?

回答:社風としてユーザー目線を重視するというのがあります。我々としては当たり前だと思いますが他社と違うといわれればそうかもです。

質問:エソテリックと共同開発というような体制なのでしょうか?

回答:開発部門は別ですが、マーケティング部門は共通など風通しの良さがあり、相互に良い効果を生んでいると思います。

戦線離脱する伝統的国内オーディオメーカーが多い中、生き残るというのは、好感の持てる社風という事もあるように感じました。

HIBINO-ヒビノインターサウンド

OTOTEN2022のHIBINOの出展

個人的に欲しいと思っている、USBオーディオ入力対応の高品位オーディオクロック機器です。カタログでは分からない細かい仕様の質問(略)などをしました。

期待した仕様ではなかったのですが、欲しい機器です。

DELA-メルコ

OTOTEN2022のDELAの出展

こちらも話題&売れているメーカーさんなので、いろいろ質問しました。

質問:評判良いですね。

回答:おかげさまで。

質問:かなり以前の秋葉原開催のOTOTENにオーディオ機器を出す前に出展されておられて「オーディオ機器を作ってください」と力説させていただきました。

回答:その出展はよく覚えています。社内的にはオーディオに参入予定だったのですが、ユーザーからのそうした熱い声に大いに勇気付けられました。

質問:光LAN接続がマニアに話題ですが、海外製品のような1つの機材に全部内蔵したような機器を開発販売してください。

回答:現在は必要機器をセットにして販売という事で、そうしたニーズに対応しているつもりです。ご意見として承ります。

質問: fidata (IODATA)とオーディオ以外でも製品が被りますね。

回答:我々としては意識していないのですが、我が社が製品を出すとしばらく後に同社から製品が発売されるようです。

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NHKとアストロデザイン

NHKの次世代スーパーハイビジョン8K22.2chシステム
アストロデザインの計測器の展示

NHKのスーパーハイビジョン

受付後方の広いスペースに、他は展示試聴室なのに対して、よりイベント的なブースによる視聴で出展していました。

聴いて行かない人も通り道なので、高い宣伝効果を狙ったと思われます。

念のため受付に聞いてみましたが、あまりの待ち時間の長さに視聴は諦めました。実は、NHK技研が近所なので、かなり以前の開放日に前身のシステムを体験したことがあります。その時の質問です。

質問:税金ともいえる受信料で運営しているNHKが研究開発費を投じる意味は?ドルビー研究所など民間に任せればよいのでは?

回答:民間の研究は、放送受信システムという点ではあまり進んでいないので、NHKが推進する必要性を感じています。

以前も今回も思うのですが、8kテレビは良いとしても、24本のスピーカーが必要となる22.2chというのは、およそ物理的に家庭に導入するのは大変なので、普及しないように思えてなりません。

現状の7.2chでも、よほどのマニアしか導入していないのでは?

アストロデザイン

NHKの隣にこじんまりと展示されていました。いったい何?と思い質問しました。

質問:これは何の計測器ですか?

回答:オーディオメーカーやマニアは、オーディオ機器やケーブルのアナログの周波数特性は熱心に計測しますが、デジタル信号の周波数特性は気にしません。どこも開発しないので、それを開発しました。

質問:なぜそこに問題意識が?

回答:NHKと一緒に開発していく体制なので、スーパーハイビジョン開発の過程で必要になりました。

なるほど。今後のオーディオ界に発展性のあるテーマなのかもしれませんね。

サイトを拝見すると、相当多くの放送機材が製品として並んでいました。学生の頃、研究室にこうしたBtoBの企業のリクルーターが来ていましたが、当時の学生の浅はかさでTVCMなどを行うBtoC企業に人気が集中していました。やりがいという点では、魅力的だったかもしれません・

アストロデザイン株式会社
アストロデザイン株式会社の公式サイトです。リアルタイム高速デジタル信号処理技術を中核に据え、超高精細映像機器をはじめとする様々なハードウェア・ソフトウェア製品を展開しています。

動画でもOTOTEN 2022報告を公開しました

YouTube動画、OTOTEN 2022報告
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