なぜプロは「Personaシリーズ」を自腹で買うのか?パラダイムの異常なまでの「科学的アプローチ」を徹底解剖と「Persona B」の製品研究

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※画像は下位機種のFounder 40B 41 COLLECTIONS

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自腹購入するオーディオ評論家やオーディオ業界人

 今回取り上げるこの製品及びそのシリーズが異例なのは、多くのオーディオ評論家や、オーディオ誌に登場するような業界人が購入している点だ。主な例を以下にまとめる。

  • 小原由夫(オーディオ評論家)導入機 → Paradigm Persona B
  • 土方久明(オーディオ評論家)導入機 → Paradigm Persona B
  • 逆木 一(オーディオ評論家)導入機 → Paradigm Persona B
  • 林 正儀(オーディオ評論家)導入機 → Paradigm Persona B
  • 生形三郎(オーディオ評論家)導入機 → Paradigm Persona 3F
  • 鈴木 裕(オーディオ評論家)導入機 → Paradigm Persona 9H
  • 飯田有抄(音楽ライター)  導入機 → Paradigm Persona B
  • MAYA (ジャズシンガー)  導入機 → Paradigm Persona B

 自腹といっても、さすがにインナーの人たちなので、お友達価格などの優遇は想像できるが、詳細は定かでない。

オーディオ界で「パラダイム」が騒がれている背景を探ると

 ここ数年、日本のオーディオ誌でよく目にするスピーカーブランドのParadigm(パラダイム)。
 「広告が多いからでは?」と疑う向きもあるかもしれない。しかし、特筆すべきは、名だたるオーディオ評論家やベテランリスナーが、忖度なしの「自腹」でこのスピーカー(特にPersonaシリーズ)を購入し、リファレンス機に据えているという事実だ。

 単なる流行ではない、その圧倒的といわれる「高音質」の裏側には、他のメーカーとは一線を画す驚愕の技術背景があるようだ。

 ちなみに、現在の日本の輸入代理店は、株式会社PDN。他にもマーティン・ローガン、トーレンス、Bluesoundなどを扱っている。


 以下、シリーズでも特に注目を集めているハイエンドブックシェルフスピーカー「Persona B」の製品研究をして見たい。

メーカー公表の仕様は

Specifications
●構成:2ウェイ・バスレフ型●クロスオーバー:2kHz●周波数特性:60Hz〜45kHz ±2dB●ドライブ・ユニット:1×φ25mm Truextent べリリウムドーム型、1×φ178mm Truextent、べリリウムコーン型●感度:92dB●インピーダンス:8Ω●推奨アンプ出力:15〜250W●最大入力:150W●質量:14kg●サイズ:225W×330D×435Hmm

価格は(吉田苑の販売価格より)

執筆時現在、価格は 1,815,000円(税込)となっている。

高音質を導き出す技術的背景


「ベリリウム」のポテンシャルを120%引き出す変態的技術

 Persona Bの最大の特徴は、振動板の素材に、高域(ツイーター)だけでなく、中低域(ミッド/ウーファー)にまで純度99.9%のTruextent®ピュア・ベリリウムを採用している点だ。通常、ベリリウムは高価で加工が難しいためツイーターのみに使われることが多いのだが、Persona Bは7インチのウーファー(ミッドバス)にも採用しています。

 ベリリウムのメリットは、 アルミニウムやチタンに比べ圧倒的に軽量かつ高剛性であることだ。これにより、分割振動を可聴帯域外へ追い出し、音の立ち上がり(トランジェント)と収束が極めて速くなる。そして、音色の一貫性として、ツイーターとウーファーが同じ素材であるため、帯域間の音色の変化が無く、まるでフルレンジスピーカーのような音の繋がりを実現する。

PPA™ (Perforated Phase-Aligning) レンズ

 ユニットの前面を覆う独特な幾何学模様の格子状レンズもその技術的特徴の一つだ。この技術的役割は、単なる保護グリルではなく、位相を整えるための音響レンズ。特定の周波数の干渉を打ち消し、位相の乱れを抑えることで、より滑らかで広がりのある高域特性を生み出すという。

ART™ (Active Ridge Technology) エッジ

 エッジにも工夫がある。ウーファーの周囲にある波状のエッジ(サラウンド)だ。この技術的役割は、パラダイム独自の特許技術で、振動板に直接モールド(成形)されている。これにより、ロングストローク時でも歪みを最小限に抑えつつ、一般的なエッジに比べて出力(能率)を3dB向上させている。

強固なエンクロージャーと衝撃吸収マウント

  • SHOCK-MOUNT™: ユニットをキャビネットから機械的に隔離し、共振が伝わるのを防ぐ分離機構を採用している。
  • キャビネット: 7層のHDF(高密度繊維板)をプレス機で加圧成形した曲面エンクロージャーにより、内部定在波を排除している。

他社とは「研究の土俵」が違う:国家プロジェクト?NRCとの共同開発

 パラダイムの最大の武器は、メーカーが立地する、カナダ政府の公的機関であるNRC(National Research Council)との数十年にわたる深い関係らしい。つまり、国家を上げてこの産業を育成しようという姿勢とみられる。

  • 「良い音」の科学的定義: オーディオ業界には「秘伝のタレ」のような主観的な音作りが多い中、パラダイムはNRCと共に「人間はどういう音を『原音に近い』と感じるのか」を数千人規模のリスニングテストと測定でデータ化しているようだ。
  • アネコイック・チャンバー(無響室)の活用: 北米最大級の無響室を含むNRCの設備を使い倒し、軸上特性だけでなく「離軸特性(斜め方向への音の広がり)」を徹底的にフラットにする技術を確立した。Persona Bの「どこに座っても自然に聞こえる」という広大なスウィートスポットは、この膨大な測定データから生まれている。

垂直統合型の「完全自社生産」


 多くのハイエンドメーカーがユニットを外部(スキャンスピーク社など)から購入して箱に収めるのに対し、パラダイムはボイスコイルの巻き線からキャビネットの成形まで、すべてトロントの自社工場で行っている。

  • Tandem Voice Coil(タンデム・ボイスコイル): Persona Bのウーファーには、1.5インチの高温耐性ボイスコイルが採用されている。これはベリリウムという非常に硬い振動板を正確に、かつハイスピードに駆動するために「専用設計」されたもの。
  • Inverse Differential Drive (IDD) モーター: Personaシリーズの駆動系には、磁束密度を極限まで高めたネオジウム磁石の反転駆動機構が使われている。外部から買ったユニットでは、Persona Bのような「超軽量ベリリウム+超強力駆動」という極端なバランスを実現するのは困難だ。

海外メディアの評価は?(原典レビューまとめ)

海外でも「この価格帯で買える最高峰の解像度」という評価が定着しているようだ。

SoundStage! Hi-Fi

「Persona Bは、2ウェイ・ブックシェルフの枠を超えた透明度を持っている。ベリリウム・ミッドウーファーの恩恵は計り知れず、音の彫りが非常に深く、細部まで見通せる。低域のコントロールも、7インチというサイズを感じさせない力強さがある。」

TONEAudio Magazine

「Persona Bを聴くと、まるで大型の静電型スピーカー(ESL)のような、音が空間にフワッと浮き上がる感覚を覚える。この価格(約7,000ドル)で、30,000ドルのスピーカーに匹敵する解像度と仕上げを提供しているのは驚異的。2018年の”Exceptional Value Award”に相応しい。」

Stereophile (Personaシリーズ全体の測定値より)

テクニカル・エディターのジョン・アトキンソンは、Personaシリーズの測定結果について「教科書のような完璧なエンジニアリング」と称賛しています。周波数特性が極めてフラットで、時間軸上の応答(ステップレスポンス)も非常にクリーンであることが証明されています。

結論:なぜ「今」Persona Bなのか

 Persona Bがプロに選ばれる理由、それは「色付け」で音を誤魔化すのではなく、科学と自社生産技術によって「歪み」を極限まで削ぎ落としたことにあるようだ。

 「音源の情報を一滴も漏らさず、ハイスピードに描き出す」。そのストイックな正確さの追求が、現時点で、音のプロたちが最後に辿り着く「基準(リファレンス)」となっているようだ。


100万円オーバーという価格帯だが、下位シリーズも十分魅力

 これだけの利点がある製品であるため、イベントや店頭で聴いて虜となる人もいるであろう。もし、「優れた解像度」とは何かを追求したいなら、Persona Bは避けては通れないと感じるかもしれない。100万円オーバーという価格帯(執筆時現在 1,815,000円、税込)において、これほど「技術的な誠実さ」を感じさせるスピーカーは貴重だ。

 とはいえ、このメーカーの技術力や背景を知ると、下位シリーズも十分魅力的に感じる。予算的に手が届く範囲で検討してみるのも良いかもしれない。


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