スタジオプレステージ チーフエンジニア井崎さんのオーディオ論、音響機器設計論

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過去記事でYouTubeなどで協力関係を築いたと報告した、佐賀県のレコーディングスタジオ「スタジオプレステージ」さんと連絡を取り合う中で、チーフエンジニアの井崎さんから、音響・オーディオ論についていろいろ教えていただきました。

一度、スタジオ見学と音を聴きに来て欲しいという話なので、近く九州旅行(長崎など)の際に佐賀県まで足を延ばそうと思っています。

いつもの久留米市のオーディオ仲間からも、来て欲しいという話があるので、結局はまたしてもオーディオ中心の旅行になりそうです。実はちょうどちょうどで貯めているマイルの期限が来て渡りに船だったりします。

久留米市のオーディオ仲間はやぶささん宅訪問記
福岡年久留米市のオーディオ仲間はやぶささん宅訪問の動画
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井崎さんが考えているスピーカー箱作り

井崎さんの手法は、一般的な「箱をできるだけ鳴らさない」という考え方とは少し違います。

市販のスピーカーボックスには吸音材や制振材が入っているものが多くあります。もちろん、箱内部の定在波や不要な反射、共振を抑えるという意味では有効な方法です。しかし井崎さんは、振動そのものを完全に止めることはできないと考えています。

例えば、1トンの鉛であっても叩けば振動し、わずかでも空気にエネルギーを伝えれば音になります。重要なのは「振動を止めること」ではなく、「どのような振動をさせ、どのような音として空気に放射させるか」ではないかというのがその主張です。

スピーカーボックスを単なるユニットの容器としてではなく、楽器のボディーのような「音を作る構造体」として

井崎さんが製作するスピーカーボックスでは、基本的に吸音材を使用せず、表板と裏板を特定の周波数に合わせてチューニングするそうです。これは、楽器における響板やボディーの考え方に近いものだということです。

例えばストラディバリウスのような弦楽器では、弦だけが音を作っているわけではなく、弦の振動が駒を通して表板や裏板、内部の空気を振動させ、楽器全体が一つの音響システムとして働きます。

ピアノも同じです。井崎さんはグランドピアノを2台所有し、クラシックピアノを10年間学ばれてきたそうです。また、現在はピアノの調律も行われています。その経験から、井崎さんは「生音」が持っている複雑な倍音や響きを非常に重要だと考えています。

楽器では、振動する木材と空気との音響的な結合によって、単なる基音だけではない豊かな倍音構造が生まれます。

井崎さんは、スピーカーでも同じような考え方ができるのではないかと考えているそうです。

スピーカーユニットだけでなく、スピーカーボックスの表面も空気に対して音響エネルギーを放射します。そのため、表面の質量、剛性、形状、内部損失、共振周波数などを適切に設計すれば、箱そのものを音作りの一部として利用できます。

逆に、表面と空気との音響的なマッチングが悪ければ、特定の周波数で不要な共振が発生し、不自然な倍音や響きとして耳に聞こえることがあります。つまり、井崎さんが目指しているのは「箱を鳴らさないスピーカー」ではありません。

「箱を無秩序に鳴らす」のでもありません。必要な振動を、必要な周波数で、必要な減衰特性を持たせて鳴らす。それが井崎さんのスピーカーボックスに対する考え方です。

これは「吸音材を入れるか、入れないか」という単純な問題ではなく、箱そのものを一つの楽器として捉える発想です。井崎さんは、スピーカーが、電気信号を単純に音へ変換する機械ではないと説きます。

最終的には、 振動板 → 箱 → 空気 → 部屋 → 耳 という一連の機械・音響システムによって、リスナーは音楽を聴いています。井崎さんは、その中でも特に「箱と空気の関係」に注目されています。

音をできるだけ無機質に再生するのではなく、楽器が持っているような自然な響き、倍音、立ち上がり、余韻を大切にする。そのために、スピーカーボックスそのものを楽器のように設計し、表板と裏板をチューニングする。それが、井崎さんが考えているスピーカー作りです。

井崎さんにとってスピーカーの「音の基準」は、測定器だけではありません。

最終的な基準は、生の楽器が持っている音です。ピアノを長年聴き、演奏し、そして調律する中で感じてきた「自然な音」を、自分のスピーカーでも追求したいと考えています。

井崎さんが目指している音響機器の設計

井崎さんが目指す音響機器の設計は、スピーカーとアンプを別々のものとして考えるのではなく、電気信号から最終的な音までを一つの自然科学的なシステム、として捉えているとのことです。それは、アンプの設計にも共通しています。

回路全体のインピーダンス・ダンピングファクターを非常に重視

井崎さんはアンプを設計するとき、複素数や積分などの数学を使い、半導体や真空管の特性だけでなく、回路全体のインピーダンス・ダンピングファクターを非常に重視されます。特に、NFB(負帰還)はアンプにとって絶対に必要な技術だと考えているとのことです。

NFBを単純に「音を変えるもの」として扱うのではなく、アンプを正確に制御し、入力された信号に対して正確な出力を得るための重要な技術として考えています。

完成したアンプには、最大100kHzまでの矩形波を入力して確認されるとのことです。

矩形波は、アンプの周波数特性や位相特性、過渡応答、発振の兆候、リンギング、ノイズなど、通常の音楽信号だけでは見えにくい問題を明確にすることができます。井崎さんは、こうした厳しい信号をアンプに与え、発振からノイズまで細かく確認することで、正確で、情報量の多いアンプを作ることを目指されています。

しかし、井崎さんにとって測定値だけが最終的な目的ではありません。

アンプで電気信号を正確に扱い、スピーカーではその電気信号を空気の振動へ変換する。その過程のすべてにおいて、自然科学の原理を利用しながら、最終的には「生の楽器が持つ自然な音」を基準にしています。

電気信号についても、井崎さんは通常とは異なる考え方を持っています。自然科学的な考察から導き出した、独自の「秘密の周波数」を信号設計に取り入れています。これはスピーカーボックスのチューニングと同じ発想です。

電気信号にも適切な振動の条件があり、箱にも適切な振動の条件がある

アンプでは電気的なインピーダンス、ダンピングファクター、周波数特性、位相、負帰還などを考え、スピーカーでは板の質量、剛性、共振、空気との音響的な結合を考える。対象は電気と機械で違っていても、井崎さんの基本的な考え方は同じです。

それは、「振動を消すのではなく、振動を良い振動に変える」「電気を消すのではなく、電気をを良い電気に変える」というのがその根本原理とのことだそうです。

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